浴衣


「岩城さんお帰り〜!」

玄関を開けた途端、香籐が飛びついてきた。

「こらっ!香籐〜びっくりするだろう」

「えへへ〜だって久しぶりだもん」

ここ数日お互い忙しくて、すれ違いが続いていたのだ。

俺の言葉が聞こえているのかいないのか、抱きついて離れない・・・。

じいっと人の顔を見たかと思うと、にっこり微笑んで唇を重ねてきた。

『嬉しくてたまんないよ』・・・そんな香籐の思いを注がれるようなキスに、

俺も思いを返す・・・『会いたかった』・・・と。




「岩城さん、今日新潟から荷物届いてたよ」

「荷物?」

「うん、テーブルの上に置いてあるよ」

開けてみると浴衣と手紙が一通入っていた。

「なんて書いてあったの?」

「・・・ああ、この間しばらく帰れないって連絡したら、冬美さんが母さんが俺のために

作ってくれてた浴衣を送ってきてくれたらしい」

「え、浴衣?そっか・・・ね、岩城さんせっかくだから着ようよ」

そう言うと香籐は二階に上がっていった。

「じゃ〜ん!俺の浴衣もこの間洋子が届けてくれたんだ〜」

「そうか、じゃあせっかくだから着るとするか」

シャワーを浴びて脱衣場へ行くと香籐が待っていた。

いつの間にか浴衣に着替えている。

「お前、自分で着付けたのか?確か前は・・・」

「もう〜岩城さん、俺は日々進歩してんの!今日は俺が着せてあげるね」

手際よく着付けていく香籐に驚きながら、なんとなくくすぐったい気分になった。

「はい!終ったよ」

香籐がポンと背中をたたいた。




ベランダで二人でビールを飲みながら、母さんの話をしていたら、

もう少し仕事が落ち着いたら新潟へ墓参りに行こうと香籐が言い出した。

「大丈夫か?お前スケジュールぎっしり詰まってるだろう」

「ん・なんとか調整してもらうよ、俺にとってもお母さんなんだし、お墓参りしたいもん」

「・・・ありがとう」



「ん〜やっぱり着物姿の岩城さんって色っぽい〜」

「バカ!何言ってんだ」

「ほら、そうやって頬染めて〜もう堪んない!」

「うわっ!」

香籐がいきなり俺を抱き上げてベッドの上に降ろす。

しゅるっと帯を解くと

「着物って脱がせやすくていいよね〜」

そう言いながら自分も浴衣を脱いだ。

最近ますます逞しくなってきた香籐の身体に目を奪われる。

「岩城さん、愛してる・・・」

「俺も・・・愛してる、香籐・・・」

二人、少しの隙間もないほど寄り添い、身体を繋ぎ、

互いの思いを伝え合う。

しあわせな熱い夜は、今始まったばかり・・・。



                                   らむママ

お題は「浴衣」
ええ、着物は良いですねえ〜脱がせやすくって!(え)
いい男がふたり和服でくつろいでいる絵はそれだけで・・・萌えですv
そしてふたりの夜・・・こちらが熱くなりそうです

らむママさんイラストと文、素敵な作品をありがとうございます

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