こそばい〈くすぐったいの方言です〉 



最近、少し不満な事がある‥‥‥
何かといわれたら困るが、なぜか物足りないと思ってしまう。
そして、その原因が自分でもわかってないのだから‥‥‥
『岩城さん、愛してる』
言葉を紡いでキスをする香藤だが、離れたときに少し何か違うと思ってしまう自分がここにいる。
香藤なのに、解かっているのに、何かが物足りないのだ。


ドラマの撮影にとき、相手の女優との絡みがあった。
髪の毛がかすかに顔にかかり、香水の甘い花の香りに鼻の奥が少し‥‥‥
我慢して台詞を続けていたがその内に


「ハクシュン!!」(ここの文字倍ぐらいの大きさにしていただけますか)


「カット!!岩城さん、大丈夫ですか?」
思わず出た、大きなくしゃみにすべてが止まる。
「すみません。大丈夫です」
慌てて返事をするが、苦笑いは隠せない。
「少し、休憩入れようか。セット確認してくれる」
監督の声が飛ぶ。
撮影場に少し緊張の解けた空気が流れる。
「岩城さん、大丈夫ですか?まさか香水きつかったですか?」
相手の女優が珈琲を片手に聞いてきた。
「いえ、こちらこそ御迷惑おかけして、すいません」
「でも、NG無い岩城さんの貴重なNGですね。」
「そうだな、今回のNG集に出しちゃおうか」
監督もそこに混じって言い返す。
「カンベンしてくださいよ‥‥‥」
岩城の言葉にその場に笑いが起こった。

撮影がすんで自宅に戻った、岩城には何か答えが導かれるヒントを今回の撮影でつかんだ気がした。
「そうか‥‥‥だから、香藤の場合は‥‥‥」
岩城の顔がほころんだ。


「岩城さん、ただいま」
「香藤、お帰り」
その日の事務所とスケジュールの話し合いで出ていた香藤が少し遅くに戻ってきて、リビングのソファーに座っている岩城にキスをする。
岩城は目を微かにつぶりそのキスを受けるが‥‥‥
香藤にキスをされた時、離れる瞬間くすぐったいと思っていた。
最近、その感覚が無いので不満に思っていた。
今日の撮影で同じ感覚があった。
それは、髪の毛だった。
香藤は冬の蝉の事で、髪の毛を短くした‥‥‥それが、原因
『やっぱりそうだ』
目をつぶっていると、感覚が鋭くなり髪の毛が岩城の頬などを掠めるまでを香藤のキスと認識していた。
原因がわかったとたん、心の中で同じような「くすぐったさ」を感じる。



「んっ?岩城さんどうしたの?なんだか、嬉しそうだけど」
「そうか?」
香藤の目には岩城の表情が心なしか微笑んでるように見える。
「ねぇ、どうしたの?岩城さん」
「さあな」
香藤の言葉に返事をあいまいに返すと、岩城はソファーから立ち上がると
「珈琲、飲むか?」
「うん、頂戴」
岩城の姿をソファーに座ってニコニコしながら見つめている香藤の頭を「ポン」と軽くたたいて、台所に向かった。
しばらくして、珈琲の香りが二人を包む。
原因が解かり嬉しそうな岩城と、その岩城をさらに嬉しそうに見つめる香藤
その香藤の中にもくすぐったさを感じていた。
二人だけのの静かな時間が流れる。
その時間も、またこそばい
                        2004/05/10   sasa



★幸せで・・・くすぐったい時間・・・とっても大切な時間
それはそのふたりでしか味わえないもの・・・
香藤くんの髪型が変わったことで少しだけ淋しさを
覚える岩城さんにも納得ですv
それを感じて幸せを実感している岩城さんに萌えですv
sasaさんお題クリアーお疲れ様でしたv