頬 

5月とは思えないほどの暑さに、
僕はくったりとデッキに寝そべってだらけてる。

今日は、岩城さんも香藤もオフ。
香藤が帰ってきたのが、随分と遅い時間だったみたいで
まだふたりとも寝室から出て来ない。

・・・起こしに行っちゃおうかなぁ。
だって、お腹空いちゃったんだもん。 
夕べ、岩城さんがお土産にもらってきたクッキーは
さっき食べ終わってるし・・・。
わう〜ん、お腹空いたよぉ。

あ!
ドアが開いた音がするっ!

僕は耳がいいからね、ちっちゃな音でもわかるの。
今のは寝室のドアの音なんだ。

急いで廊下まで行くと、バスルームへと消える香藤の背中が見えた。
でも変だなぁ、やけに香藤ったら静かに歩いてた気がする。
岩城さん、まだ寝てるのかしらん。
寝室のドアは、完璧に閉まっていなくて僕が鼻で押すとすぐに開いた。
僕がベッドに近づくと、上掛けの中から岩城さんの腕が伸びて
今まで香藤が居たらしいとこを触ってるのが見えた。

  香藤のこと、探してるの?
  今は居ないよ、岩城さん。僕じゃだめ?

僕は、そう〜っとベッドにあがると
腹ばいになって岩城さんの隣りに近づいた。
叱られちゃうかなって思ったけど、
まだ岩城さんは眠りのなかにいるみたいで
 僕のあたまに掌があたってもそのまま撫でてくれたりしてる。
 もしかして・・・僕と香藤を間違えてるの?
 う〜ん、ちょっとフクザツだけど今はいいや。
   だって岩城さん、パジャマ着てないんだもの。
   腕の内側のとこが僕にくっついて、何だか気持ちいいよ〜。
   それに、とっても良い匂いがするし。
   
 僕は、思わず鼻をくっつけてしまった。
 そしたら岩城さんは、くすぐったそうな顔をして
 ほんのり笑顔になったの。
 それが嬉しくて、剥き出しの肩のあたりを舐めてみる。
 その時までは気がつかなかったけど、岩城さんの肩や腕のあたりには
 まるくて赤くなってるとこがあった。
 
   どうしたのかな?
   虫にさされたの?
   痛くないの?

 不安になった僕は、やさしくやさしく舐めてあげた。
 ついでに、やわらかな岩城さんの頬っぺたにも鼻をつけて
 ぺろぺろと舐めてみていた。
 いつも香藤が独占している、唇も。
 やわらかくて、気持ちが良いよぉ〜。
 僕は夢中になって、岩城さんにくっついていた。
香藤の存在なんて、すっかり忘れて。

 そうして、
 僕が半分眠りかかった頃、上掛けがめくられた。
 と同時に香藤がベッドに・・・。

   「おわっ!! ヨウジッ!
    何やってんだよっ。
    あああ〜、おっ、俺の岩城さんに〜〜〜」
   「んっ、何だ?・・・どうした香藤?」

 香藤の大声に岩城さんは目を覚ましたけど、
 まだ全然状況がわかってないみたい。
 僕と、岩城さんの目が合った・・・。
 みるみる岩城さんの目がまんまるになる・・・可愛いかも。
 !!!
 なんて感じてる場合じゃなかったよ。
 叱られる前に下りなくちゃっ!
 そして
 焦った僕は、岩城さんの上に思いっきり乗っかっちゃったの。

   「うっ・・・」

 あっ、と思ったときにはもう遅くて。
 岩城さんは僕の下敷きに。

 ぼーぜんと見つめる香藤と岩城さんの雷が落ちるのは、
 もうすぐそこ。


     ???????????????

 その後僕は、寝室への出入りを禁止された。
 ・・・・ばうっ。
 そして。
 岩城さんの頬っぺたの舐め心地は、何度も夢に出てきて
 僕を悩ませるんだ。
 ・・・わぅ〜、ずるいよねぇ、香藤、ずるいよね。
 独り占めしてるなんてさ。
 ・・・・がるるぅ。


2004・6・5 ようこ


★このヨウジ犬・・・・まじ可愛いですv
欲しい(笑)
岩城さんの寝ているベッドに入るなんて・・・・なんて羨ましい!!
私も・・・(って、あんたそればっかり;)
そして犬と同レベルで争う香藤くん・・・・笑
楽しい毎日かもv
ようこさん、ヨウジ犬ネタでのお題クリアーお疲れ様でしたv