バイバイ〈From the past to the future〉
「バイバイ」 昔、付き合っている子に言った言葉 それなりに恋だってしたし 笑ったり泣いたりもした でも別れはいつも思った以上にドライで 簡単に口に出来た言葉だった・・・ そしてその後の最後のキス 「バイバイ」 そう言われたことをふと思い出した 自分からは切らない関係 一緒にいても 何処かで線を引いているそんな関係 心が満たされないままに 過ごしていた日々・・・ 最後の言葉の後 『キスをして』 そう言われた・・・・もう遠い昔 珈琲を入れる手を止めてそっとリビングを振り返ると ソファに脚を組んで座っている岩城さんが見えた。 仕事が忙しいせいかな 少し疲れていて でもほっとくつろいでいる様子が見えて微笑んでしまう。 現場での岩城さんも凛としてとても格好いいけど 家でゆったりしている姿は俺だけの岩城さんだ。 煩がられない程度に甘えてみよう。 キスも出来ると良いな ・・・さっきテレビから唐突に流れた言葉につい昔のことを思い出した。 もうずっと昔のころのこと。 キッチンから聞こえる食器の音を聞きながら 目は見るともなしにテレビ画面を見つめていた。 このところのハードなスケジュールに自分でも疲れていることが分かる。 でもこうやってリビングでくつろいで 香藤が側にいてくれればそれだけで疲れが取れていくように感じる。 「珈琲でも入れるね!」 そう言って側を離れた瞬間に感じた・・・ 自分がどれだけ求めているかを 戻ってきたらどうしよう 膝枕をしてやろうか 甘やかして・・・香藤を感じていたい・・・今は・・・ 「はい どうぞ」 笑顔で差し出したカップを岩城は受け取った 香ばしい香りが部屋を包む。 好きな香りだ。 そのまま口に運ぼうとして・・・ふと岩城は動作を止めた。 「・・・・香藤」 「ん?」 同じように飲もうとした香藤は手を止め岩城を見る。 「・・・・・」 「・・・・・」 互いの目を見つめて、そしてカップを置く・・・ 言葉はいらない 「ん・・・」 後はぬくもりを感じればいい 互いの頭に、首に手を廻した・・・・ これからもこんな時を重ねていければいい あんな時はもう来ないから 二度と言う必要のないあの言葉は過去のもの・・・・ 「岩城さん・・・愛してる」 「俺もだ・・・・」 幸せな瞬間 目を開けて互いを見つめて・・・ そして もう一度深い深いキスをした・・・・ 2004・6 日生 舞 |
★過去を少しだけ絡めて書いてみました・・・
ふたりが出会うまでの遍歴・・・きっとそれなりの時間を過ごしてきたはず
その上でふたりが今こうしていられるのなら・・・と
たまにはこんな素直な言葉も口にしてみる時間もあっていいかなとかv
これからも本当にふたりで時を紡いで欲しいです〜v
お題クリアー・・・・?してるはず・・・・あれ?(笑)