ごめんね 

拝啓 梅雨にうたれた紫陽花の花玉も色美しく見える今日この頃、洋介さんにはお元気でご活躍のことと存じます。
  
先日の私の成人の会では、お目にかかれてとても楽しかったです。京介おじさまも洋二おじさまもいらしてくださるなんて思いもよらなくて、舞い上がってしまいました。
こっそりお友達に写メールしてしまいましたもの。あとで母にみつかって、叱られましたけど・・・。
  社会人生活はいかがですか、まだ学生の私には思いもつかないことがたくさんあることと思います。でも、洋介さんのことですから、きっと笑顔で日々頑張っていらっしゃるのでしょうね。またお話、聞かせてくださいませ。楽しみにしています。
  さて、今日は先日お約束した京介おじさまとの思い出話をお話しますね。おじさまにはもちろん内緒です。洋二おじさまにも内緒にしておきましょう、こんなことを私が洋介さんにお話したなんてわかったら後が怖いです・・・矛先がどちらに向かうやら!?


あれは物心ついたばかりの頃だったでしょうか。
私は京介おじさまが大好きで、お会いできる時はそれはもう嬉しくてうれしくて。いらっしゃるとわかるとずっと玄関で待っていたりしたと久子さんがよく言います。
初めてお会いしたときから(その時のことはまるで覚えていませんけど・・・だって生まれて間もない頃ですから)おじさまの隣りにはひとりの男性が必ずいらっしゃいました。それが洋二おじさまでした。
でも、いつも一緒にいらしてくださっていたのに、抱かれた記憶はあまりありません。
不思議ですね、京介おじさまの記憶はたくさんありますのに。
洋介さんは、いかがですか?
職業柄、なかなかまとまったお休みのとれないおじさま達とお会いできるのは年に数回でしたから季節もはっきりとはしないのですけれど、その日はいつもご一緒の洋二おじさまはいらっしゃらなくて、京介おじさまおひとりでした。
父と母はおじいさまのお供で出かけていて、私はおじさまと久子さんとでお留守番でした。お昼も終わって、ひとしきりおじさまに遊んでいただいてお昼寝の時間になったときのことでした。おじさまは添い寝をしながら、物語を読んでくれていました。
私をあやしながらゆっくりと、あの素敵な声でお話を聞かせてくれました。
その物語の最後には、王子様がお姫様にキスをするという場面がありましたから白雪姫だったのでしょうか。それとも眠り姫かしら?
私は、おじさまの優しい声と物語る巧みさに(そうですよね、俳優さんなんですもの)すっかり引き込まれて、眠気などなくなっていました。
だって、私には京介おじさまが王子様でしたから。
そして、自分はお姫様になった気持ちでおじさまにキスをねだったのです。
どんな会話をしたのかは覚えていませんが、たぶん「日奈にも」とでも言ったのだとおもいます。おじさまは笑って私の額にしてくださいました。
でも、それは私が願っていたものではありませんでしたから、唇にもして欲しいと言ったのだと思います。なんて、大胆な!(笑)
すると京介おじさまは、こうおっしゃったのです。
「ごめんね、日奈。ここはもう香藤だけのものなんだよ。おまえにはまだわからないかもしれないけどな、大人になって恋をして、ただひとりの愛する人に出会って、そうしたら日奈にもわかるようになるんだ。だから、ごめんな」
そのまま全て覚えているわけではありませんから、大体こんな感じだったと思います。
ほとんどが私にはわかりませんでしたけれど、ただひとつ「香藤だけのもの」という言葉が心に残りました。
ごめんねと言いながら、京介おじさまはそれはもう幸せそうに微笑んでいらっしゃいました。そうして「だから、ほっぺにするぞ」と。
私の願いは叶えられませんでしたが、おじさまの笑顔と洋二おじさまのことを『香藤』と呼ぶときの優しい声は私の気持ちをもほんわりとさせるものでした。

  
 洋介さんにはどんな思い出がありますか?
私よりも近くにお住まいなぶんだけ、思い出も多いのではないですか?
気付いたら、悔しいような気持ちになってきました。

  
 日に日に暑さが増していきますね、おからだに気をつけてお仕事頑張ってください。
おばさまとおじさまにもよろしくお伝えくださいませ。
またお便りします。
かしこ


2004・6・5 ようこ



★少し変わった視点でのお話ですv
日奈ちゃんが大きくなって・・・洋介くんとこういう風に交流していると素敵ですよねv
きっと岩城さんも香藤くんも年を重ねて益々輝いているのではないでしょうか?
自慢の叔父さん達v
ああ、羨ましいです〜この子達もきっと美男に美人さんですよね!
ようこさん、お題クリアーお疲れ様でしたv