『いつか還る場所』 |
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「ねぇ、岩城さん。桜って不思議だよね。」 「なんだ、いきなり。」 テラスに並んだ鉢植えのひとつ、ミニ盆栽の桜は 先日岩城が購入したばかりのものだ。 「だってさぁ、誰かが教えてくれるわけでもないのに毎年必ず 同じ時期に花を咲かせるんだよ?」 「そんなの当たり前じゃないか。」 「そうだけど。でもなんか神秘的だなぁって思ってさ。 ちょっと儚げな雰囲気とか岩城さんに似てるかも。」 「…バカ。」 岩城は顔を赤らめながら桜を見つめた。 (誰に教わるでもなく、か。 俺もまた生まれ変わってもおまえに会えるだろうか、香藤。) 「岩城さん?なに考えてるの?」 「べ、別になにも考えてない。」 「あ、なんか隠してるでしょ?教えてよー、岩城さん!」 「なにもないって言ってるだろう!香藤、桜餅買って来てくれ。」 「へ?なにいきなり。ごまかさないでよ〜。」 「ごまかしてなんかない!鶴屋の桜餅が食べたいんだ、俺は!!」 「わかったよ、行けばいいんでしょ、行けば。」 言い出したら聞かない岩城に疑惑の眼差しを向けながらも 香藤はしぶしぶ玄関に向かう。 「岩城さん、帰って来たら教えてよね。さっきのこと。」 「くどいぞ、香藤。いいからさっさと行って来い。」 「ちぇ、なんか納得いかない…。うわっ、睨まないでよー。 じゃ、行って来まーす!」 香藤が桜餅を買って戻ると、岩城はたまにはこんなのもいいだろうと 抹茶を用意して待っていた。 「なんか雅だよね〜。日本人でよかったって感じ!」 「ぷっ・・・。」 「あ、笑わないでよっ!ね、岩城さん来年も再来年もさ、こんな風に一緒に 桜を見ながら桜餅食べようね。」 「・・・。」 「岩城さん?」 「それじゃ足りない。」 「え?」 「生まれ変わっても、だ。」 香藤はあっけにとられながら岩城を見つめた。 (ずるいよ、岩城さん…。そんなこと言うなんて) 「大好き!岩城さんっ!!」 「うわっ、香藤いきなり抱きつくな!」
2004・3 ゆうか |
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※この頁の素材はゆうかさんの指定ですv |
★生まれ変わっても・・・そうですよねv
ふたりの絆はこれからも永遠に続いていくのですよね〜v
桜餅と抹茶を味わいつつ・・・桜を愛でる・・・・
なんて素敵vvv
とっても平和な時間が過ぎていきます・・・・
ゆうかさん優しいお話ありがとうございましたv