プレゼント
「ううぅぅぅ〜ん。い・・・わきさ〜ん。おたん・・じょ・び・ぃ」 「ん?」 またか。 ここのところずっと香藤に祝われている。寝言でだが… それもどうやらうなされてるように見えるのは気のせいではないらしい。 「ううぅぅ〜ん。うう〜ん。いわきさ〜ん」 「香藤!香藤!おい。香藤!」 「あっ岩城さん。何?どしたの?こっちで寝る?」 「バカ。どうした?じゃないだろ。おまえ、うなされるてたぞ」 「えっ?そうだった?」 「俺の誕生日とか言ってたがどうかしたのか?」 「ええっ!そんなこと言ってた?なんでもない!なんでもないよ。おやすみ!」 突然すっぽり頭まで布団をかぶってあっちを向いてしまう香藤。 俺の誕生日までまだ2週間以上あるっていうのに。 そんなに早く年を取らせないでほしいんだが。 指輪・・・ブレスレット・・・ペンダント・・・洋服も・・・ 「ああ。みんなあげちゃったよ。どうすんだよ。俺」 せっかくの岩城さんの誕生日だっていうのに気の利いたプレゼントがみつからない。 まだ一緒に祝い始めて何年でもないのに。 岩城さんにそれとなく聞いてみたら「いらない」と言われた。 「おまえがいればそれでいい」 って。グフフッ。かわいい岩城さん。 おっと、そうじゃなかった。 どんなに大人になってもプレゼントは大事だよ。だよね?ワクワクする。 それも最愛の人の誕生日だよ。 頑張らなくてどうするよ。俺。 「ああぁぁぁ〜困ったぁ」 スタジオの隅で頭をかかえて丸まった。 「何やってるんですか?香藤さん。皆さん見てますよ」 「だって金子さん。岩城さんのプレゼントがさぁ。みつからないんだよ」 「まったく。仕事中ですよ。今の香藤さん見たら岩城さんに怒られますよ」 「はい。はい。そうでした。でも金子さん。どうしよう」 「お休み取れてるんですから、とりあえず今は頑張って下さい。きっと何か見つかりますから」 「そうだね。って。ああっ!金子さん。大変だ」 「えっ。今度は何ですか?」 「岩城さんのドラマ録画してくるの忘れちゃったよ」 「ああ。それなら心配いりません。うちでちゃんと録画してますから」 「えっ?なんで?」 「こんな事もあろうかとうちのDVDは岩城さん専用です」 「そうなの?ありがと。金子さん。って本当は俺のを録画しとくもんじゃないの?マネージャーだし」 「いえいえ。うちのタレントが一番、仕事しやすいようにするのもマネージャーの仕事です」 「へへっ。ありがとう。金子さん。あっ!閃いた!!」 「えっ??またまた何ですか?」 「金子さん。やったよ!ありがとう!これだよ!!」 突然、抱きついてきた香藤は金子の背中をバンバンたたく。 なんのことかわからない関係者は不思議そうな顔でその様子を見ていた。 「勘弁して下さいよ。香藤さ〜ん」 岩城の誕生日がやってきた。 香藤の作った料理と岩城の産まれた年のワイン。 そしてなにやら大きなダンポール。 「岩城さん。お誕生日おめでとう」 「ああ。ありがとう」 「あのね。誕生日のプレゼントみつからなくて…すごく考えたんだけど…」 「それでうなされてたのか?バカだな。おまえが休み取ってくれただけで十分だって言ったろ」 「うん。だけどやっぱりさ。それでね。今年はこれにした」 大きなダンボールにはDVDの文字と一緒にデカデカとマジックで『香藤洋二専用』と書いてある。 「なんだ?この「香藤洋二専用」っていうのは?」 「これは俺のドラマとかいろいろ撮るDVD。いつも岩城さんと時間帯が重なっちゃうでしょ。 我侭言っていつもあっちは俺が使っちゃうからさ。これで俺をいっぱい撮って下さい。 俺、岩城さんに見られてもいい仕事しかしないから」 「ああ。そうか。わかった。頑張れよ。香藤。いつでもダメだしするからな」 「あちゃ。というわけであっちのは「岩城京介専用」だから」 「じゃあ俺もおまえに胸はれる仕事をしないとな」 「うん。これからもよろしく。お誕生日おめでとう♪」 「ありがとう。そんなおまえといられて幸せだ」 「もう、そのセリフは食事が終わってからにしてよ」 後日談・・・ 「俺とは別れてくれないか。その方がお互いのためだと思う」 「嫌だぁ〜!!岩城さん」 リビングから香藤の悲鳴が聞こえてあわてて靴をぬぐとリビングのドアが開き香藤が飛び出してきた。 「嫌だよ。岩城さん。そんなこと言わないでよ」 またか。 岩城は大きな溜息をついた。ドラマにシンクロしている。 「だからこの回は見るなって言ったろ」 リビングに入るとちょうど背中を向けて去っていく俺が映し出されていた。 口をパクパクしている香藤。 それがかわいいと思ってしまう。 「キスシーンでむくれて別れのシーンで泣いて…おまえはもう見るな」 そういいながらキスしてしまう自分は香藤にだいぶ甘いらしい。 香藤専用のDVDはまだ見られずにいる。 H17.1.23 千尋 (ごめんなさい。プレゼントが思い浮かばなかったのは私です…すみません) |
可愛い・・・香藤くん可愛いですよ!千尋さんv
ああ、幸せ!(・・・いや私が幸せになっても;;)
互いを高め合う仲・・・っていう感じの事も
さりげなく触れていてステキですv
香藤くんに甘い岩城さん〜らぶ!
千尋さん、とっても素敵な作品ありがとうございましたv