あなたが今までにもらった数々のプレゼント 綺麗な物・普通の物・高価な物・安い物・ブランド品ノーブランド・欲しかった物・欲しくなかった物・・・ その中で、10年経っても手元にある品はどれだけありますか? 20年経っても「嬉しかった」と思えるものはどれだけありますか? 大切な人に贈る記念日のプレゼント… 何十年経っても「ありがとう・うれしかった」と言ってもらえたら… 俺はそんな物を贈りたい…あの人には… 【プレゼントは真心を…】 時代劇の撮影といえば「古都の町・京都」と誰もが思い浮かべるだろう。 その予想通り二人は「冬の蝉」の撮影のために京都に来ていた。 「ねぇ岩城さん」 ホテルのベットの上、本を読んでいた岩城の横に体を滑り込ませながら香藤が話しかけてきた。 「うん?」 「今、欲しい物とかってある?」 「何だ急に?」 本から顔を上げ、香藤を見る。 いったて穏やかな、優しい顔がそこにある。 「どうかしたのか?」 「次の火曜日、岩城さんの誕生日でしょ!プレゼント何が良いかと思ってね」 1月27日は岩城の誕生日である。 本人はすっかり忘れていたが、香藤にとっては大切な岩城の記念日。 手帳にもしっかりと書き込まれているし、早くから金子に頼んでオフもちゃんと取ってある。 しかし当の岩城自身はもう誕生日が嬉しい年であるわけでもなく、誕生日だからと特に休みも取っていなかった。 ところが清水が気を利かせて休みが取れるよう、最初の撮影スケジュール調整の段階でちゃんとオフ日になるよう、監督に話を付けておいてくれたのである。 「去年はプレゼント買いすぎて怒られちゃったからね!」 そう去年の誕生日、岩城の目の前には山ほどのプレゼントが並べられた。 香藤はペア物のアクセサリーを選んでいるうちに決まらなくなり… 結果、すべて買ってしまい岩城に怒られる形となったのだった。 「今年はそうならないように、岩城さんに聞いてから買おうと思ってね♪」 すっと岩城の腰に手を回す。 「何が良い?」 「何が良いって…急に言われてもな…」 「じゃあ四条だったっけ?明日にでも一緒に買い物に行こうか?」 四条とは京都のデパートなどが立ち並ぶ通りのことで、東京の渋谷通りなどより規模は小さいが、同じ感覚の通りのことである。 香藤は買い物や食事にいくならどこが良いのかと、京都に詳しい相沢役の吉澄さんに聞いていたのであった。 「でもな…特に欲しいものもないしな…」 せっかくの香藤の申し出だが、岩城はあまり乗り気がしなかった。 欲しい物は特にないし、第一、二人して出歩けばどこにいても嫌でも人目につく。 騒ぎ立てられる事がわかっていて、出歩く気にはなれないのだ。 岩城にしてみれば出掛けるよりも、ホテルでゆっくり過ごしたいというのが本音だった。 「じゃあ27日はどこかに食事にでも行こう!せっかく京都に来てるのにホテルに居たんじゃもったいないよ…」 「うーん…」 日頃すれ違ってしまう事が多い二人、香藤は折角取ったオフなのだから、岩城の誕生日をちゃんとお祝いしたかったのだ。 しかし現在人気絶頂の岩城と、若干のトラブルはあった物の確実に人気が戻ってきている香藤。 一人づつでも目立つのに二人揃って出掛ければ、騒がれるのは目に見えていた。 (香藤の気持ちは嬉しいが、疲れる為に出掛けるようなものだ… それよりはホテルの部屋でゆっくりして居たいと思うのは自分が歳だからだろうか… それともこいつは騒がれて喜んでいるのか… 俺が欲しい物なんて、この世で一つしかないのだから…) 「岩城さん?」 黙り込んでしまった岩城を心配し、顔を覗きこんでくる。 その顔をまるで主人の事を心配している犬のようである。 「くすっ」 そんな香藤が可愛くて思わず笑ってしまう。 「なに?何がおかしいの?」 笑われた理由が香藤にはわからない。 「なんでもないさ」 香藤の肩にそっともたれ掛かり目を閉じる。 岩城の優しい声と幸せそうな笑顔、理由はわからないが香藤もなんだか暖かく幸せな気持ちになった。 そっと瞼にキスをする。 お返しにと頬にキスされる。 岩城の膝の上の本をサイドテーブルへ、ついばむようなキスを何度も唇に繰り返す。 いつしかそれは深い口付けにかわり、二人は甘い幸せな時間へと導かれていくのだった。 2004・1・24 水樹 |
どんなものよりも2人で過ごせる時間が
岩城さんにとっては素敵なプレゼントなんですよねv
2人同様読んでいる私達も幸せなものを
プレゼントして貰ったような想いに包まれます
水樹様からのプレゼントです
ありがとうございます・・・・v