春雨にうたれて…


かすかな雨音を聞きながら読書する、そんな休日の過ごし方も悪くないと思う。
たとえ予定通りに過ごせなくても、膝枕をしてもらえるなら、これはこれでありだと思う。
だけど、やっぱり…

せっかく二人そろってオフになったのだから、少し早い花見に出かけようと言い出したのは何時もの通り香藤のほうだった。
まだこの時期では五分咲きにもなっていないだろうが、かわりに二人でゆっくりできる。
珍しくこの提案に岩城もすぐにOKしてくれた。
香藤はすっかり浮かれて、オフの日をまだかまだかと毎日二人の予定のかかれたカレンダーを眺めては心待ちにしていた。

そして待ちに待った二人一緒の休日がやってきたのだが…

「なんで?天気予報では曇りのち晴れだったよ?なんで???」
ルンルン気分で早起きした俺は、寝室のカーテンを開けて目を疑った。
天気予報は珍しくはずれ、朝から小雨がぱらついていたのである。
「これじゃあ花見に出かけられないじゃん!!」
香藤はがっくりと肩を落とし、カーテンを閉めなおすと愛しき岩城がまだ眠るベットへと戻った。

出かけることが出来ないとわかった二人が起き出したのは、結局は昼近くになってからだった。
遅目の昼食をゆっくりと取り、その後はリビングのソファーで読書する岩城。
そんな岩城に膝枕してもらいながら、愛しき人の顔を眺めて過ごす香藤。
そんないつもの休日の風景が描かれることとなったのだった。
『予定は狂ったけど、岩城さんと過ごせるならいいや…』
そんな想いで活字を追う岩城の顔を見上げていた。
「香藤…」
急に岩城が本を閉じ、香藤に話し掛けてきた。
「うん?何?」
いつもならめったに自分から読書を中断しない岩城の意外な行動に少々驚きながら、香藤は体を起こした。
「やっぱり花見に行かないか?」
「えっ!?」
何の前触れもない突然の提案、香藤は面食らってしまった。
「雨はずっと小降りみたいだし、これなら少しぐらいなら出かけられるだろう?」
朝から降り続いている雨は止む事はないが、きつくなる事もなく、出歩けない状態ではない。
「せっかくそろって取れた休みだ、これを逃したらもう今年の花見を無理だろうしな…」
滅多にない二人そろってのオフ、岩城が言うと通り今日を逃せば次にそろって休めるのはいつになることやら…
「そうだね!出かけようか!!」
岩城からの思わぬ提案に香藤はすぐに乗った。
雨の中を二人で歩くのも悪くない、きっと春雨の中桜を眺める岩城さんはすごく綺麗だろう!
それにうまくすれば相合傘もしてもらえるかもしれない…
「じゃあすぐに出かける準備するね!」
香藤は大喜びで二階へ上がっていく。
そんな香藤の様子を苦笑いしつつ、岩城も後を追う。

きっと素敵な休日の午後が過ごせるだろう…



End


水樹



久し振りの休日、そして岩城さんからの提案・・・
きっと甘い甘い時間が過ごせる事でしょうvv
私も是非、ご一緒したいですわ〜
らぶらぶなふたりをご馳走様でした!

水樹さん、ありがとうございますv