プレゼントはもう!?

※実はこの話、今年の岩城さんのお誕生日企画に書かせていただいた話と少し繋がっております。ご了承下さい※


「岩城さん、もうすぐ香藤さんのお誕生日ですよね。」
清水から車中で話題を振られた。
「お誕生日当日はちゃんとオフを取れるようにしておきましたから。あ、その翌日は
 午後からでいいですか?本当は1日取って差し上げたかったんですが・・・すみま
 せん。」
「えっ、あっ、そんな・・・・・・・・・充分です。ありがとうございます。」

確かに・・・“ありがたいこと”なのだろうが、どうしても自分にはそれが
“恥ずかしさ”や“照れ”に変換されてしまう。
と、いうのもそれが今年の自分の誕生日に端を発していると考えてしまうからだ。

─── 香藤と清水さんが画策して自分の誕生日にこっそり半日オフを入れたと偶然に
知ってしまい、ふたりに内緒でスケジュールを前倒しさせた ───

だってそうだろう、一体香藤と生活を共にするようになって何年経ったと思っているん
だ。
あいつの考えそうなことは分かっているつもりだ。
俺の誕生日だと言いながら、ベッドの中では『岩城さん、俺がプレゼントだよv』など
と言わんばかりに俺の身体を貪ることぐらい・・・。
だったら体の辛い翌日に半日でもオフをとるのが賢明だろう。
・・・あ、いや、別に期待しているわけじゃない。あいつの考えそうなことだと思った
だけだ。

が、結果今度は香藤の誕生日にしっかり清水さんが前述のように1日と半のオフをもぎ
取ってくれた。俺の確認も取って。
・・・・・・・・・はぁ。
清水さん、香藤のファンだったんだよな。考えてみれば・・・
まさか、このオフが清水さんから香藤への誕生日プレゼントだなんて・・・・・・
考えたくないな。

まあ、確かにここのところはそんな押せ押せのスケジュールではないし、普段無駄に
オフを取ったりしないのだから、こういう時くらい少しは甘えてもいいのかもしれない。
事務所から香藤へのプレゼントだと思えばいいか。・・・・・・・が、やっぱり少し
気が重いな。

気が重いのには理由がある。
例年のことなのだが、今年もやっぱり香藤へのプレゼントをまだ用意していない。
もう1週間を切っているんだよな。
元々、やれイベントだの人にプレゼントだの・・・という性格ではない。
だが、人の喜ぶ顔(特に香藤の)が見たくないわけでもない。
ただ・・・ただ、本当に喜んでもらえるものを自分が選べるという自信がないのだ。
だったら香藤のことだ、今年も自分の誕生日にはオフを入れているだろう。当日は平日
だからふたりで少しばかり買い物に出るのもいいかもしれない。
そこで何か香藤の気に入ったものでも買ってやろう。

甘いかな・・・・・・?
いや、最近は俺が香藤に甘えているような気がするな。

自分にだって判っている、つもりだ。
だが仕方がないのだ。心の中にいっぱいになった香藤への気持ち。そこにたった一滴の
香藤の気持ちが注がれるだけで溢れ出てしまう。
それはもう止めようがない。
元の心の中身は減りようがないのだから。


*-----*-----*-----*-----*


明日が香藤の誕生日だ。
心なしか俺も落ち着かない。・・・・・・何だか・・・な。

それでも仕事中は気持ちを切り替える。
自分がNGを出して帰宅時間が遅くなるのは本末転倒だからな。
それに控え室には仕事の合間に買っておいた花がある。
プレゼントは用意してないがせめて朝の食卓に飾ろうかと思っている。その花を萎れ
させたくはないからな。


なのに、俺の思いとは裏腹に、ちっともOKが出ない。
いや、俺のせいじゃない。
主演の女の子がNGを連発しているのだ。
あの監督も妥協しないし、こだわる人だし、それに結構言い方がきついからな。却って
あれでは萎縮してしまうだろう。可哀想に。
俺の出番はそんなに多くないが、このシーンの後に撮ることになっている。
このままではそっちのシーンが撮り終わるのもかなり遅くなりそうだ。
あまり香藤に連絡を取ることはしないほうだが、明日が誕生日だからな、香藤は待って
いるかもしれない。

『遅くなりそうだ、先に休んでいてくれ』
それだけ入れて香藤の携帯に送った。



結局、全ての仕事が終わって帰宅したのは日付が変わったあとだった。
寝ている香藤を起こさないようにそっとリビングに花を飾り、シャワーを浴びて、
そして明日の朝のことを考えながら布団にもぐりこむ。・・・そっと。
これも俺なりのこだわりなのかな。ふと思う。

誰よりも早く祝いの言葉を言うために。


  ・・・・・・えっ・・・?

  な・・・っ・・・なに・・・を??

  !?ちょっ・・・ちょっと待てーーー!


香藤ときたら俺が待てというのも聞かず、何だか訳のわからないことを口走りながら
抱きついてくる。

『やっぱり、岩城さんは俺の真珠だよね』
だとか
『誕生日には岩城さん自身をプレゼントなの!? やったーvvv』
だとか
『俺を護ってくれんの?』
だとか;


冗談じゃない、俺はただ朝一番、目覚めたお前に「誕生日おめでとう」って言ってやり
たかっただけだ。
だからお前のベッドに入っただけだ。
なのにどうしてこういう状況になっているんだ?

やっぱり、お前の誕生日のために手の込んだこと、いや気を回すことをしても全て無駄
になるのだと霞がかかった頭の片隅で考えた。
それと外出も無理なのだということも。
花を見るのは・・・何時間後になるだろう?

・・・・・・まあ、いいか。プレゼントの先渡しだ。
祝いの言葉より先に別の言葉を言えればいい・・・か。



end

‘04.05.21.
 ちづる

すみません、岩城さんBDに続いて、香藤くんBDもお笑いです;





・・・で、結局朝まで眠らせて貰えなかった岩城さんですかv
いいですねえ〜香藤くん素敵なプレゼント貰ったね(笑)
結局岩城さんは香藤くんを思いっきり甘やかしてくれるでしょうしvvv
どうぞ幸せな時間を・・・・それが私達の望みでもあります
ちづるさん、岩城さんのお誕生日の時と連動したお話ありがとうございますv
素敵なお話でした(^o^)