震える指先に、キスをひとつ。 震えるまつ毛にも、キスをひとつ。 行為の余韻が、まだどこにでも残っている。 ゆっくりと、まぶたがあがり、ほんのりと美しい目が見つめてくる。 俺を見つめる宝石のようなこの綺麗な輝きは、世界にふたつだけ。 愛しくて、思わず片方を舐めてしまった。 横たわっている肩がビクっとあがった。 「痛かった?ごめんね。岩城さんがあんまり綺麗だったから.....。」 「香藤.....」 切れた息で、出しにくそうに俺を呼ぶ声が可愛い。 うっすら開かれた唇が誘っているようだよ。 岩城さんは意識してやってるわけじゃないんだろうけど、たまんないよっ! 肩にそっと手をまわして首筋に顔を埋め、きゅっと抱きしめる。 岩城さんの耳に、今日何度言ったかわからない言葉をまたささやいてみる。 「愛してる。愛してる.....。」 唇からのぞく舌が口角から上唇を舐めようとしているのが、見えた。 「岩城さんッ!!そんな顔見せちゃダメだッて!! 俺、また我慢出来なくなっちゃうよッ!」 言いながら、肩にすがりついた。 「どんな顔だ、それは.....。散々やったうえにまだ言うか。 それより喉が渇いたんだが、動けん.....。」 少し息が整ってきた岩城さんの気だるい、けれど冷静な声。 「ちょっと待ってて。冷たい水でいい?」 俺の問いかけにうなずくのを確認して、ぱっと飛び起きた。 冷蔵庫の中からミネラルウォーターのペットボトルを取り出し、ベッドに戻る。 ベッドの端に腰を下ろして、 よいしょっと、岩城さんの背を起こしながら後ろに廻り、 背中から抱えこむようにして足の間に岩城さんを入れた。 なにするんだ?と言いたそうな岩城さんの顔が俺を見ている。 ペットボトルのキャップをキュッとあけ、ボトルの水を口に含むと、 岩城さんのあごをつかんで振り向かせ、口移しに水を流し込んだ。 ごくんと、岩城さんののどが上下する。 自分で飲める、の抗議の声は無視してもう一度水を口に含む。 聞き届けられないのをあきらめたのか、岩城さんのほうから吸い付いてきた。 目を閉じて美味しそうに俺の口の中の水を飲みほす。 「もっと.....」 うッ!だからその顔がだめだなんだってばッ! 股間への直撃を我慢しながら、岩城さんに水を与え続けた。 水とともに俺の舌も飲みほそうとするかのように、 岩城さんの舌が何度もからみついてくる。 うっすらとあいた切れ長の目元に朱が掃かれていた。 壮絶に、綺麗だ.....! 岩城さんも、また感じてきちゃった.....? ふっと、岩城さんがため息をもらすと、力つきたようにいきなり首がコトンと傾いた。 すーっと眠りに落ちていく顔は目元に赤みを残したまま、満足したように微笑んでいた。 ずっとずっと大事にするからね、と耳元につぶやいてから、 大切な岩城さんを壊れものでも扱うように慎重にベットに横たえると、 岩城さんの肩をかかえるようにして、俺も隣に横になった。 布団を引き上げ、そっとかけてあげる。 今はこの綺麗で可愛い岩城さんの寝顔を守るために、 俺の体に取り残された熱は我慢しておくよ。 .....おやすみ.....岩城さん..... おわり 2005.9.10 千。 |
*───*───*───*───*───*───*───*───* もうすっかり心に入っちゃってるのにキズつくのを恐れて、 認める事にさまざまな抵抗をする岩城さんを、諦めずに待った香藤くんはえらかった。 決断の出来るオトコっていいな。 香藤くんも人として俳優として大きく育っていくんだろうけど、 支えられた岩城さんは怖いくらい特別な生き物ものに育っていくのかもしれない。 と思いながら作ったお話しでした。 |
香藤くんの”岩城さんへの思い”が
可愛くって、愛しいですv
沢山いる人々の中から出会えたこと
まさしく宝石を見つけた香藤くん・・・幸せだねv
千さん素敵なお話、ありがとうございますv