肌を焼く太陽の熱は少しずつ弱くなってきたものの、まだまだ暑い日が続いていた。

フ○テレビの控え室では、出番を待つ岩城と香藤が冷たいお茶で喉を潤している。
30分ごとに漏らすはぁ〜っという岩城の溜息。

その度に

「もう〜大丈夫だってば。ここまで来ちゃったんだから腹括ってよ。1回だけなんだからいいじゃん。」

と宥める香藤なのだった。

「う・・それはそうだが・・・兄貴達に見られると思うと気が重いんだ!」

「あ、そっちね。」

「そっちね・・って、人事のようにっ!」

「だってさ、家族に観て貰えるなんて、一番嬉しいことじゃない?俺達が幸せなのを一番分って欲しいよ。あぁ息子は、弟は、コイツといてこんなに幸せなんだ、ってね。俺が今メチャメチャ幸せなのは親父達にはもう分ってるはずだけどね。家帰っても俺からは岩城さんの話しか出ないし。」

ウィンクをしながらそう語る香藤に、岩城は少しの間驚いた顔を向けていたが、やがて

「そうか・・・そうだよな。お前の言う通りだ。なんか、やっぱり俺はだめだな。いつも大事な事をお前に気づかされてばっかりだ・・・年上なのに・・情けないな・・」

と俯きながら小さな声で呟いた。

「やだなぁ俺にそう言わせてんのは岩城さんなんだってのを気づいてよ。岩城さんがいなかったら俺じゃないの。わかる?俺が俺でいられるのは岩城さんが側にいるからなの。岩城さんがいなかったら俺は俺じゃなくって・・・もっとすんごいイヤなやつで・・・・ん〜〜なんだか分かんなくなっちゃったじゃん。」

「ねえ・・お願いだからそんな寂しそうな顔しないでよ・・・・」
と岩城の顔を覗くと泣きそうな顔で抱きついてきた。

「クスッ、なんだよ、寂しい顔はお前だろ?ごめんな。俺がくだらない事ばっかり言ってるから・・」

そう言って香藤をギュッと抱きしめて、髪をなでた。椅子に座る岩城に覆いかぶさるようにしていた香藤は立ち上がると絡めた腕をはずし岩城の顔をじっと見つめ、岩城の膝を跨ぐように腰を降ろしそっと唇を落とす。
少し下になった岩城の頭を抱えるようにしてチュッチュッとキスを繰り返した。

「どうしよう・・・止まんなくなりそう・・・」

「ばか・・・」



コンコンコン・・・と大きくドアをノックする音で振り返ると、そこには顔を赤くして咳払いをする番組のスタッフが数人立っていた。抱き合って座っている二人を前に、どこを見ていいのか分らず、みんな目があっちこっち泳いでいる。

「コホンッあのぉ〜お取り込み中ホン・・・・ッとに申し訳ないんですが〜何度ノックしてもお返事が無かったので開けてしまいました・・スイマセン・・あのそろそろメイクをお願いしたいのですが・・・!」

申し訳なさそうに、というか半分やけになりながらひとりのスタッフが部屋に入ってきた。

固まった様に動けなくなっていた二人だったが、「うわあっっ!!!すいませんっ!」っとスタッフよりも顔を赤く染めた岩城が香藤を押し退けて立ち上がった。

「んもうせっかくいい所だったのにな〜〜」

と悪びれた風も無く言ってのける香藤の頭に、岩城のいつにも増してするどい鉄拳が落ちたのは言うまでもない。

仲がいいのは良い事だが、いつも当てられっぱなしの周りの人間にも少しは気づいて欲しいもんだ。文句のひとつも言ってやりたい!と思うのを誰がせめられよう・・・もういい加減にしてくれっっ!(T。T)(あるスタッフ談)






スポットライトが二人を照らした。そしてステージ上ではカメラに向かい香藤が真ん中に俯くようにして立ち、その後ろに岩城が、片手を香藤の肩に掛けて立つ。

シーンと静まった中、ダダンッッ!!とドラムの音が入り、ふたりはそれぞれ動き始める。

プロモ用にと曲の始めにダンスの見せ場を作ったのだ。

ラップのリズムに合わせ香藤は大きく踊り始めた。足を大きく広げると、口には笑みを浮かべ上目遣いに射る様な視線をカメラに投げ掛ける。長めの前髪が頬にかかった。

岩城は腰を低くして落とし両手を前に突き出し、顎を少し上げたまま唇僅かに開けて、妖艶な眼差しを画面の向こう側へ送る。

ふたりの艶眼はカメラマンをもドキリとさせる。

ふたりの白熱したダンスにスタジオ中がシーンと静まり返り、息を呑んで見つめていた。


「今回は普段の二人の雰囲気を出したいので、ラフな私服で出て欲しい。」との話であった。

今日のふたりの服装はというと、岩城は麻のパンツに少し胸が大きめに開いた黒のニット、そしてその上にシックな色合いのジャケット。いつものスーツ姿を見慣れている者達にとってはこの様な岩城の服装はとても新鮮だった。このような何気ないシンプルな服装も何故か格好よく決まってしまう。これもルックスの良さだけではないのは確かだろう。

香藤はビンテージ風のジーンズを腰で履いて、真っ白なTシャツに紫色の大きな花が描かれているシャツを羽織っている。こちらもしかり。気を使っていないように見せかけていても、本人の醸し出す雰囲気に加え、さり気なく付けているアクセサリーにもセンスの良さが伺えてしまう。



岩城と香藤が足を広げたまま大きく手を振り上げ、ターンをしながらそれぞれのポーズで動きを止める。

ふたりの肩が小さく揺れていて、息が少しあがっているのが分る。

テンポが変わり、今度はポップなイメージの曲が流れ出す。ふたりは顔を見合わせ、ちょっとだけ微笑み合うとゆっくりマイクの前へ歩いていった。







<抱きしめてキスをしようよ
貴方がいればそれだけで永遠はきっとあると信じられる・・・>


香藤が顔を横に向け、優しく岩城を見つめながら歌う。



<貴方に逢うために僕は生まれてきた
こんな言葉も素直に言えるよ
とてもありふれていた僕の世界が
今 貴方の色だけに染まってしまった
貴方がいればいい・・・・
貴方だけが欲しい・・・・
他にはなにもいらないんだ
だから・・・・

抱きしめてキスをしようよ
僕の心からのキスを・・・・・・>


香藤の熱い視線に恥ずかしそうに下を向いていた岩城が今度はチラッと香藤を見やると視線を戻して歌い始めた。


<抱きしめてキスをしようよ
貴方がいればそれだけで僕の全てが回り始める・・・

前だけを見て二人で並んでいたい
こんな想いも素直に言えるよ
全てを愛してくれる貴方だから
僕は今生まれて来たかのように
貴方を想えば心は真っ白になれる
貴方がいればいい・・・
貴方だけが欲しい・・・
僕も貴方の色に染まる
だから・・・・

抱きしめてキスをしようよ
僕の心からのキスを・・・・・>


<これからもたくさんのキスを
約束するよ
ずっと貴方だけの僕でいるから・・・・>




最終章がおわり、流れる音楽に合わせゆっくりと身体を揺らす。

すると右手をジーンズに掛け、左手でマイク掴んだまま首を傾げるようにして岩城の方を見た香藤が、

「愛してるよ・・・」

とささやくように一言。

同じようにマイクを片手て持っていた岩城は、ボッと音が聞こえるように顔を紅潮させ、はにかむ様に柔らかく微笑むと、(俺も・・・。)

小さく聞こえるか聞こえないか位の声で答えた。





「岩城・香藤、愛のデュエットv」

「前代未聞の最高視聴率!!」

「岩城の色気にスタジオ騒然?!!」

「香藤洋二!ダンスで悩殺!!」 


こんな見出しで書かれた、新聞や週刊誌でごったがえしている。

最後の最後に出た二人のアドリブも大きな話題となった。
岩城の頬を染めた(歳を忘れさせる?)可愛らしさや、香藤の雄フェロモンたっぷりの視線を取上げ、
「えっ!本当はどっちがどっち???」なんてふざけた記事も載っていた。

その後売り出されたスーパープレミアム?CDは、シングルCD1枚、プロモとメイキングが入ったDVDの2枚組みで売り出されたが、初盤を手に入れた者は暫く周りに自慢出来るであろう・・・。という位入手困難な状態だった。

DVDの中の岩城と香藤、そこにはロスのカラッと晴れた空の下で終始幸せそうな二人の姿が映し出されていた。
勿論噂のダンスシーンもしっかり収録されている。ダンススタジオで大声を上げながら走り回ってるオマケ映像つきで・・・・。

二人の想い人に向ける蕩けるような笑顔は、画面を観ている者もいつの間にか笑みを漏らしてしまうような暖かさを感じさせてくれる。

だが観ている者は自分の顔に張り付いている微笑を自覚した途端に、ちょっと悔しそうな顔に変わる。
心の中での憧れと羨ましさと少々の妬み、それらが微妙な温度差で交じり合ってしまってたりするからだ。


当のふたりは、というと・・・


「岩城さ〜〜〜〜ん!ごめん!〜〜怒んないでよ〜〜〜」

「うるさいっっ!さっき前の家の奥さんにも笑われたぞっ!!恥ずかしい!」

「だって〜〜〜1日中聞いてたかったんだよ〜昨日岩城さん仕事だったし・・・」

「だからって、本当に一日中大音量でCDかけることないだろっっ!!迷惑を考えろ!」

とプンプン怒っているはもちろん岩城である。

昨日オフだった香藤はCD発売がよっぽど嬉しかったのか、はたまた皆に聴かせたかっただけなのか、窓は全開、さらに大音量で例の音楽をかけまくってたのだ。

「でもさ、歌は聴いてもらえてもDVDはどうしたって皆には見えないよね〜〜う〜ん」

真面目な顔で考え込む様に話す香藤に、またもピクピクと震える岩城のこめかみ・・・

「香藤〜〜〜〜〜〜っお前はっっ!!」

逃げる香藤に追う岩城・・・・・どこかで見た風景だ。



色々あるけど、今日もラブラブなふたりである。






幸せと幸せの間にチラリと垣間見えるもの・・・・・

それはちょっとした焦りであったり・・・相手を想うあまりの寂しさであったり・・・

毎日変わるそんな心の中、それでも決して変わらないものは・・・?



MOMO   








すいません;;;;すいません。
ある曲を聴いていたらふたりを踊らせたくなってしまって・・・・・
ただそれだけなんです;;すいません
(ある曲とは?もうおわかりですよねっ!エグ〇〇ルのあの曲です!
少々パクってしまいました!ごめんなさいm(__)m聴いてたら
妄想が止まんなくなっちゃったんです・・・・)
こんな稚拙な文章、とっても恥ずかしいです。
もし最後まで読んでいただけたら・・頭打って気絶します。。。。ぱたっ







はふ〜ラブラブでした(^o^)
歌って踊る岩城さん、香藤くん、見たい!見たいです!!
おふたりとも身体の線が綺麗すものね〜とっても素敵だと思うんですv
見たいなあ・・・・・指銜えv(笑)
MOMOさん、おふたりを踊らせてくれてありがとうございます
とっても素敵なお話、ご馳走様でした
でも本当にこのDVD・・・・・欲しいです!!!