「岩城さ〜ん」
「ん〜〜?」
「どっか行こうよ〜」
「ん〜〜」

だめだ……話聞いてないな…あれは…。

コーヒーを淹れながら聞いてみるが、さっきから帰ってくるのは生返事ばかり。
うさぎは寂しいと死んじゃうんだからね…岩城さん…。俺うさぎじゃないけど……。

岩城さんは昨日帰ってからよっぽど面白いのか、本にかじりついている。
集中してるときの岩城さんて周りの音が全く聞こえてないか、聞こえてても理解してないから返事が返ってきてもあんまり期待しちゃいけない。
せっかくオフなんだから構ってくれてもいいじゃんか…とは思うが………。

しょうがないので勝手にちょっかいをかけることにする。
これで構ってくれたらめっけもんだし、怒られてもまぁいいや。
手始めに背中に指先でつつうぅ〜〜っと文字を書いてみる。

   ひ ま

「うわっ」
さすがの岩城さんもこれには反応した。
「なにすんだ、くすぐったいだろう!」
「あはは〜〜。だって岩城さん構ってくんないんだもん。ね、今背中に何て書いたかわかった?」
「はぁ?わかるわけないだろう、そんなもん」
「も〜〜。じゃあこれは?」
そう言って再び岩城さんの背中に指先で文字を書く。

   か と う

「『かとう』だろう?簡単だ」
ふふん、と少し得意そうに言う。
「じゃあ今度は俺が書くから当てて見せろ。ほら背中こっち向けて」
「ハイハイ」
しめた、なんか段々岩城さんもノッてきた。
「ん〜〜…そうだな…、これはどうだ?」

   け だ も の

「ん〜、け…だ…も…?の〜〜!?ひどっ!!誰がケダモノ!?」
「あははははは、よくわかったな。濁点があるから難しいと思ったんだが」
「わかるでしょ、そんくらい!じゃ次俺!!」
「はいはい」
「ん〜〜……っと……」

  じ ゅ ん け つ

「どう?」
あ、何か脱力してる?
「…………また奇妙なものを………」
「わかんなかった?」
「……純潔……だろ。ばかじゃないのか。いや、拗音を使うあたりそうでもないのか?」
「ばかってなにさ〜。さっきのお返し〜〜。岩城さんは俺の永遠の聖域なんだよ〜ん♪」
そうお祈りポーズをとってふざけてみせる。本音は実はマジなんだけどね。
「言ってろ。次は……そうだな……」

  キ ス

「なぁ〜んだ、簡単!『キス』でしょ!!」
カタカナにしたってわかっちゃうんだもんね!
「甘いな。まだ続きがあるぞ」

  し た い





ごめんなさい。俺の負けです。

End. 2004/04/02



★・・・・・私も負けです・・・・
たぶん、これを読んだ方のほとんどが今そう思っているに違いないですv
こんな岩城さんに誰が勝てましょう?
・・・・・岩城さんったら・・・・vvv
オフの昼下がり(勝手に昼下がりにしている)に
ラブラブしているふたりにも何も言うことはございませんv

およぐさん またまた甘いお話ありがとうございました
とっても今お口の中が甘くって幸せですv