2003年12月31日、除夜の鐘が響く中、岩城はNHKホールにいた。 年末恒例の歌番組の審査員をしていたのだった。 予定通り生放送の収録は終り、無事に今年の仕事納めとなった。 マネージャーの清水は「年末だから…」と岩城の希望で休みとなっていた。 ホール前に待ち構えていたタクシーに乗り、帰路へとついた…。 車は住宅街を静かに走っていた。 街中ではクリスマスから続くイルミネーションが煌いていた。 それとは対照的に、住宅街は除夜の鐘をBGMに静かに新年の来るのを待ってい るようだった。 自宅にたどり着いた時には、既にもう年は替わっていた。 「香藤はまだ起きているいるかな…」 香藤は既に昨日仕事納めとなっていた。 夕方仕事に行く時は 『起きて待ってるから、一番に新年の挨拶しようね!!』 などと、寝ぼけたことを言っていたが… 「ただいま…」 香藤が現れてくる気配はない。 表から見たときにはリビングに明かりが点いていたのだが… 「ただいま…」 リビングに入り、もう一度声をかける。 電気は点いていたが、やはり香藤からの返事はなく姿も見えない。 「もう寝たのか…」 そう思い、二階へあがる。 先に自室へ行きコートを片付け、寝室のドアを静かに開ける。 しかし予想に反し、そこにも香藤の姿はなかった。 「靴はあったよな…」 香藤の自室・二階浴室・客間・一階浴室と見て回ったが、どこにも香藤の姿がな い。 「いったいどこにいるんだ…」 玄関に香藤の靴は確かにある、なのに姿がない… 「香藤…」 名前を呼ぶが返事はない… 急に嫌な予感が、不安が岩城を襲う…香藤の身に何かあったのではないかと… もう一度玄関に行く、確かに香藤の靴はそこにある… と、リビングの反対側にある和室の扉が目に付く。 まだここは見ていない、しかしこの和室は普段めったに利用していない。 ここに香藤がいるとは考えにくいが、それでも一応確認のために覗いてみる… 「・・・・・・・」 そこに香藤の姿はあった。 コタツに入り眠っていたのだった。 「まったく…」 先ほどまでの不安は消え去り、安堵感が岩城の心を占める。 「香藤、香藤…」 体をゆするが起きる気配はない… コタツの上にはお銚子と杯が2つ、それにツマミが用意されていた。 岩城が帰ってきたら、二人で飲もうと準備している香藤の姿が目に浮かぶ… 自然と岩城の顔が優しく緩む… 「明けましておめでとう、今年もよろしく…」 そう呟くとそっと頬に口付けた… 今年も二人にとって良い一年であることを願いながら… END 2004・1・7 水樹 |
帰りを待っていたのに寝てしまう・・・可愛いです、香藤v そしてそれを優しく見つめる岩城さん・・・何てらぶらぶなんでしょうv 水樹さんありがとうございますv |