視線の先には 香藤の誕生日を祝うようになって何年になるだろう。 出会った頃は、顔を合わせる度ににいがみあってばかりで こんな風に一緒に暮らすようになるとは 全く想像もしなかったからな・・・。 何年経っても、いつもお前には驚かされることばかりで 共に過ごす日々が楽しくて、愛おしい。 俺の膝を枕にしてテレビを見ていた香藤が じっと俺を見上げている。 「なんだ?香藤」 「・・・・・岩城さん、目の下のその傷、どうしたの?」 「は?」 伸びてきた指が俺の頬にそっと触れた。 「ケガなんてしてないぞ?」 「気付いてなかったんだ。ちょっと来て」 起き上がった香藤は俺の腕を掴んで洗面所へ向かった。 「ほら!ここ、薄ーく傷になってるよ?」 「?・・・・・どこだ?」 「もしかして・・・岩城さん老眼?」 洗面所にごつっと鈍い音が響いた。 「誰が老眼だっ!」 「いた〜岩城さんひどいよ〜」 「お前がバカなこと言うからだろう!」 「だって間違いなくあるのに〜」 頭を押さえて涙面で見上げてくる香藤を横目に 俺はもう一度鏡を覗き込んだ。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・もしかして、このうっすらピンク色のちっちゃな傷か?」 「そうだよ〜良かった〜岩城さん、もう老眼になったのかと思っ・・・」 「・・・・・・・」 「ごめんなさい・・・もう言いません」 「部屋に戻るぞ」 洗面所を出ようとすると、香藤があっと声を上げた。 「今度は何だ?」 振り返ると、香藤が口元を押さえて目をぱちぱちさせている。 「な・なんでもないよ・・・」 「うそをつけ!お前今度は何を見つけたんだ」 「や・ホント、俺の見間違いだから、なんでもないよ」 ・・・どうも香藤の様子がおかしい。 いつもなら膝まくらしながら、じーっと人の顔を見ているはずなのに 今日はそわそわと落ち着かない様子で 俺の顔をそ〜っと横目でみたり、テレビを見ながらブツブツ言ってる。 「・・・・・・・・・」 俺は香藤の頭を持ち上げて、ソファーから立ち上がると 思わず大声で叫んだ。 「香藤!気になることがあるならハッキリ言え!!」 「え・・・?」 「さっきから一体何なんだ」 「岩城さん、怒んないでよ〜〜〜」 はあぁ〜〜〜と盛大な溜息をつきつつ立ち上がった香藤が 俺の手を引き洗面所に向かう。 「岩城さんが気付いてるんだったら、今更なんだけど・・・」 「だから何だ!」 香藤は洗面台から小さな鏡を取り出し 俺を鏡の前に立たせると合わせ鏡であるものを見せた。 「・・・・・これ・・・もしかして、白髪か?」 「うん・・・やっぱり気付いてなかったんだ」 髪を掻き分けてやっと見えるくらいの場所にある白髪。 年からいけば早いというわけじゃないだろうが 実際こうして見るとやっぱりショックだな。 横に並んで鏡を覗き込んでいる香藤を見ながら 「年の差」を実感していると 香藤が頬にキスをした。 「お前、なんでそんなに嬉しそうなんだ」 じろりと睨むと苦笑しながら香藤が答えた。 「ん〜俺が最初に見つけたんだよね、岩城さんの白髪」 「だからなんでそれが嬉しいんだ」 「一緒に暮らしてるから・・・だよね」 「まあ・・・な」 「ふふっ」 「・・・しょうがないヤツだな」 「日付が変わったな」 「あ、そうだね」 「香藤、誕生日おめでとう」 「ありがと、これからもずっと一緒に年とっていこうね」 「共に白髪の生えるまで・・だな」 H18年6月1日 らむママ 香藤くんお誕生日おめでとうございますv これからも岩城さんとラブラブでね〜〜〜♪ |
きゃんv らぶらぶ〜vvvv
素敵なです〜日常のこんなふとした会話の中にも
お互いを思う心が詰まっている感じですv
読んでいるとその光景が目に浮かびそうです・・・・
らむママさん、素敵なお話ありがとうございますv