【  DESERT DREAM  】







雲ひとつない星空に、ぽっかり浮かんだ黄色い満月。

今夜は十五夜。中秋の名月。

岩城さんの帰りを待ちながら、そのきれいな月、ぼんやり見ていた。

ベランダにテーブル出して、スタッフに貰った、ススキとお団子並べて、

とりあえずの雰囲気作り。

でも、徹夜続きで、ちょっと帰れただけの俺もなんだか妙に眠くって、

ちゃんと岩城さんを待ってて、一番に顔見て、お帰りって言ってあげたいのに・・・。

ちょっとだけ・・・の、つもりが、ついうとうとと・・・長椅子で。









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ああ・・・、本当に綺麗なお月様だな・・・。

視界を遮るものが何にもないから、余計に真ん丸。

でも、なんだか赤くって・・・妖しい気がするエッチな色。

足元は、どこまでもサラサラな、砂の道行き。

そんな、荒涼たる砂漠を、白馬の手綱引いて歩いていると、

馬上から通りのいい、穏やかな声がする。



「本当に綺麗な月だな。こんな光景に出会えるなら、天竺への旅も悪くない」

「・・・えっ!?」



思わぬ岩城さんの声にびっくりして、声の方を見上げると、

白馬には、法衣袈裟姿の岩城さんが、跨っている。



「なんだ、どうした?そんな顔して。疲れたのか?」

「い、岩城さん、なんでそんな格好してるの?」



俺の問いにきょとんとして、小首を傾げて、岩城さんは、



「イワキサン?なんだ、それは?近くの山か?」



と大ボケ。



とかいって、俺の格好もなんだこれ。

真っ赤なロングベストに黄色いスカーフ。

還暦の爺やじゃないんだからさぁ・・・。

ださっ。

信じらんない、このセンス!

で、何でこんな棒、俺持ってんの?

えっ、えっ、この腕、何?

俺ってこんなに毛深かったっけ?

そんでそんで、そんでもってこの頭に付けてる輪っかってもしや・・・!?



「岩城さん・・・、もしかして、玄奘三蔵役!?えー?いつそんなオファー受けたの?

なんで、俺が知らない内に、撮影始まってるの〜?カメラどこどこ〜?」

「・・・何訳の解らんコトを。役ってなんだ?・・・玄奘は法名だ」



見慣れた溜息つきながら、マジ顔、の岩城さん。

うわぁ〜っ!! マジマジ!?これって、西遊記の世界っ!?天竺への旅〜!?





・・・あ、そっか。

なーんだ、夢なんだ。だから見回したって、カメラなんかないんだね。

・ ・・てコトは、孫悟空。・・・俺が石猿な訳?

夢って深層心理の願望だってから、結構、ショックかも・・・。



「・・・悟空?・・・ホントに大丈夫か・・・?」

「・・・・・・うっ」





岩城さんに悟空なんて呼ばれちゃうとな〜。なんて返事していいか、解んないよ。

心配そうな顔して、それでもハッとしたように前方を指差して。



「ほら、見てみろ、あちらに村が見えてきたから、今夜はあそこで休ませて貰おう?

お前、疲れたんだろう?」

「・・・う、うん」



・・・岩城さん、なんか、すんげぇナチュラル。

演技じゃなくても、それって怖いよ。

・・・んっ!?

しかし、気を取り直して、優しく微笑む岩城さん、もとい三蔵法師様を見上げると、

改めて、別の衝撃・・・っ!!



シルクロードの妖しいフルムーンをバックに、馬上の白い法衣、

金色の袈裟を纏った、眩しい岩城さん・・・。

頭はすっぽり下がり冠に包んで、その下、もしかして本当に、坊主なのっ?

それでも、切れ長のオニキスみたいな瞳、すっきりした鼻梁、薄い口唇、

・・・その白いきれいな、男前な顔は、やっぱり俺の岩城さんで・・・っ。

うわぁ・・・うわぁ。

僧侶!?法衣!?西遊記だから、密教だよね・・・。

密教つったら・・・っ、あぅ、エロい・・・っ。

ちょ、超色っぽくない!?それ・・・っ!!



「急ごう?また、妖怪に襲われても厄介だ」

「えっ、妖怪っ!?」



密教だから、禅宗じゃないんだろうけど、お坊さんていうと、三蔵法師と一休さん、

俺に法相宗と臨済宗の教義の違いが解る筈もなく、ただなんとなく、戒律厳しい禅寺の、

稚児岩城への妄想の旅に行きかけた俺を、サラリとした声が引き戻す。



「・・・おい、本当に大丈夫か?毎度毎度、恐ろしい思いしてるじゃないか・・・」

「・・・あ、そうそう。西遊記だもんね」

「サイユウキ?何言ってんだか。・・・まあ、その都度、お前が闘ってくれてるんだから、

お前に倒れられると、困る。さあ、行こう?」



岩城さんに促されて、また、とぼとぼと歩き出す。

・・・ハァ。

ちょっと衝撃が走ってヤバかったけど、プチ冷静。

岩城さんて・・・想像以上にこういう役、ハマるんだ・・・。

役者としてのポテンシャルの高さ、妙に実感で、

・・・ライバルとしての俺はちょっと、へこむなー。

ハンティングフィールド、広い広いっ。

うう〜っ。

・・・って、じゃあ、今の俺は、この斉天大聖・孫悟空とやらに、

見事シンクロしてみようじゃない!?

与えられた役は、役。俺には俺のフィールドあるしね。負けたくないもん。

・・・つっても、俺、テレビと子供の絵本程度しか内容、知らないんだけどさ。

この如意棒、バトン程度になら操れるよね、俺?

つい、片手でひょいっと振り回してみたりして?

確か、高僧の肢肉は寿命が延びるだ、妖力が付くだとかで、

三蔵法師狙って、妖怪が次々に現れては、孫悟空が大暴れで退治してく展開、だよね?

いーじゃんいーじゃん!

俺の岩城さんを狙う命知らずな妖怪なんて、粉砕してくれるっ!

任せて!岩城さん!





そして、しばらく歩いていくと、いかにも辺鄙な、そりゃあ貧しそうな村に辿り着いた。

夜も大分深けてるからか、人の姿が全くといっていい程、ない。

いや、ぜーんぜん、ない。・・・しーんとした、寂しい風景。



「誰もいないよ?・・・どうするの?」



岩城さんを見上げると、



「・・・ここも災厄、荒廃が凄まじい。・・・痛ましいものだ」



そう言って、手首の数珠を手繰り寄せ、合掌。

口の中で何やらお経を唱えてる姿が、また、決まってる。

ああ・・・、カッコイイ・・・岩城さん・・・。

って、うっとり見てんなよ、俺のバカ。



「あ、ねぇ、あそこ、お寺じゃない?あーゆートコに泊まるんでしょ?」



俺が見つけた、テレビで見たチャイニーなお寺、指差して言うと、



「そうだな。お願いしてみよう」



と、堂に入った、でも、なんとも柔らかい仕草で、馬から下りる。

品よく脚は広げ過ぎず、膝を折って片足を上げ、

当然のように、俺が差し出した腕に、自然に手を添えて、

ふわり、と、単の袖が風に膨らんで。

袈裟も裾も敢えてバサつかせず、滑らかな足捌き。

白い足袋が、地面に着く・・・まで、俺、目が離せない。

ああ〜んっ。

・・・テレビの三蔵法師ってさ・・・、結構何人も、美人女優が演ってんだよね。

だけど、少なくとも、俺が見たその中の誰より、アクション、

岩城さんの方が、なんか、なんか、なんか、色っぽいよ〜っ!!

反則じゃない、それ!?



そして、すたすたと寺院に向かって歩いていき、

あちこち痛んでボロいんだけど、古くて重厚そうな、厳めしい門扉を叩く。



「夜分に恐れ入ります。旅の僧でございます。どうぞ、一夜の宿をお貸し願えませんか?」



・・・うぐっ。

ダ、ダメ・・・俺。

なんか、今の岩城さんのセリフ、すっげーヤラしく感じちゃった。

馬の手綱握ったまま、ぷるぷる震えちゃう。

おいおい、俺って。



「もし、どなた様か、おいでになりませんか?」



岩城さん、熱心に語り掛けながら、どんどんと扉叩いてんだけど、

ホントにしーん・・・なんだ。

見兼ねて、俺がぐいっと扉を引いてみると、あっさりとそれは開いて、

やっぱり誰も、いる気配、なし。



「ホント、廃寺って感じだね。・・・いいんじゃん?とにかく休めればいいんだから、

入っちゃおうよ」

「・・・しかし・・・」



育ちのいい生真面目さから逡巡して、躊躇ってんのかなって、最初は思ったんだけど、

そこは西遊記とハッとして、



「大丈夫!どんな敵が現れたって、俺が、必ず、この命に替えても護ってあげるよ?

お師匠様?」



確かそんな呼び方だったと思って、笑って俺が言うと、

岩城さん、もうそれこそ見る間に嬉しそうに、頬染めながら、微笑んで・・・。



「ああ・・・。お前だけが、頼りだ・・・」



だって!

もーーーっ、堪んない可愛さだよっ!!かかって来いって、妖怪でも、何でも!



で、開き直って、ずんずん中に入っていくと、やっぱり、がら〜んとした、

だだっ広い境内には、誰もいなくて。

馬を外の大木に繋いで、岩城さんと2人で、履物脱いで、寺院の中の、床敷きの

広間に腰を下ろした。

色々あるんだろうけどさ、このお寺って、日本の俺の知ってるお寺とは違って、

妙にゴテゴテした極彩色な仏像だので、イマイチ品がない感じ。

俺の趣味じゃないね。

でも、大した灯かりもない、仄暗いボロいお寺の中だから、やっぱりかなり、

不気味〜。

所々痛み破れた扉や窓から、差し込んでくる満月の灯かりだけが、俺たちの輪郭を

映し出してる。



「・・・ホントに、誰もいないね?」

「・・・ああ」

「・・・2人っきりだね?」



俺が呟いた本音に、何故かその時だけ岩城さん、手甲を外しながら、

びくんとして、・・・少しだけ、俺との距離を取った。



「どうしたの?」



俺が聞いても、返事もしないで、ぷいっと顔を背けて、岩城さん、

法衣の裾を気にしながら、ずるずると後退る。



「なんなの?どうしたの?」



ムッとして、這い擦って追い掛けると、やっぱり顔、背けたまま、

もごもごと口の中で何か呟いてて、聞こえない。



「だから!いきなり、なんなの?言いたいことは、はっきり言ってよ?」



思わず、岩城さんの肩掴んで、詰め寄ると、あっという間に、体を硬直させて、



「・・・・・・しない・・・ぞ」



って、切なそうに、唇、噛み締めてる。



「・・・は!?」



硬直はしていても、俺の服の袖を握り締める指が、震えてる。

頬は紅潮して、・・・首まで紅い。



「・・・満月の夜なんて・・・、きっと・・・おかしくなる・・・」



えっ!?えっ!?



「・・・月の・・・魔、が・・・」



それって・・・、それって・・・!!



「・・・だから・・・、今夜は・・・イヤ・・・だ・・・」



「!!」



俺は、思わず岩城さんを、引き倒していた。

俺の腿の上に、肩から倒れて、頭を振った勢いで、岩城さんの下がり冠が取れ、

坊主頭が露わになる。

わ、マジ、頭の形いいから、違和感なくて、強烈、色っぽいんだけど!?

法衣の裾が乱れて、チラつく膝、ふくらはぎ。

襟が少し開いて・・・、浮き出る、鎖骨。

・・・ぎゅっと目を瞑った、カチカチボディ。

しっかりキャリア仄めかしたくせに、まるでバージンみたいな、この反応!!

それでもその肩が、膝が、手が、小刻みにぷるぷる震えて・・・。

静寂な広間に、岩城さんの心音が・・・聞こえてきそう・・・。



俺の咽喉が、ごくん、て・・・鳴る。



「・・・悟、空・・・」



・・・この体は・・・よく・・・知ってる。



「・・・や・・・」



どうすれば、この強張りが溶けて、

どうすれば、その唇が彩り戦慄き、

どうすれば・・・、俺に・・・、自ら・・・脚を開くのかも。



「・・・好きだよ・・・」



岩城さんの腰を片腕で抱き寄せ、もう片方の手が頬を捕える。

指先で輪郭をなぞるように、その頬を撫でながら、耳元で囁く。



「・・・うんと・・・優しくするから・・・」



まんま岩城さんにするみたいに、岩城さんにする角度で、肩から身体の脇のラインを

法衣の布越しに、掌で・・・触れていく。



「・・・あ・・・」



・・・これは夢だし、浮気じゃないよね?

・・・この体は、間違いなく、俺の岩城さんだもん。



「・・・んっ・・・」



そして、その声に、やっぱりこの体の持ち主は明らかに反応して・・・、

ゆっくり・・・俺を虜にする、うるうるの濡れた視線を・・・投げ掛けてくる。

噛み締めて、唾液を吸った口唇がうっすらと開いて、



「・・・いつも・・・なんでも・・・思い通りになると・・・思って・・・お前・・・」



悔しそうに言いながら、でもやっぱりその瞳は俺を誘っていて・・・。

仄暗い板間に入り込む月光が、その白い顔の、潤う口唇の色香を・・・、

俺に突きつける。

堪え切れずにその口唇に喰らい付き、俺の最愛の人が一番悦ぶキスを・・・深くする。

この体のことは誰より解ってる俺だけに、自然に俺の脚が岩城さんの膝を割り、

掌が襟から懐の中に入り込むと・・・、さっきまでの硬直が嘘みたいに緩み出し・・・

微弱な抵抗を諦めて、躊躇いながらも、恐ず恐ずと・・・俺の首に腕を回し・・・、

舌が俺の動きを追い掛け始める。



う〜〜〜っ、可愛〜〜〜いっ!!



可愛いっ!可愛いっ!!やっぱりやっぱり、超、可愛いよ〜っ!!

どんな格好してても、坊主だってなんだって、もうもう〜好き好きっ!!

これだよっ、これ、この、初々しいくせに、なんとも言えないエロ臭さ!!

もぉもぉもぉもぉ、堪んないっ!!

調子付いて絶好調!!の、俺の指テク、舌テク、駆使しながら、



「愛してる・・・っ、岩城さん!!」



・・・って、その膝抱えた、その途端、



「なんだと!?」



「えっ!?」



いきなり信じられないような力で、突き飛ばされて、吹っ飛ぶ、俺。

肌蹴た襟と裾、抑えて、それはそれは、物凄い形相で、怒ってる、岩城さん。



「な、なんでいきなり怒るの!?岩城さ・・・、・・・あ!」



ぷるぷると怒りに震えながら、すくっと姿勢よく立ち上がり、顎を上げて、

ぞっとするような冷たい視線で、尻餅ついてる俺を見下ろし・・・。



「誰と・・・間違えてるんだ・・・お前?」

「ち、違う!違うよ、間違えてないっ!俺が愛してるのは岩城さんだけで、

あ、あ、だから、岩城さんは、お師匠様で・・・っ!!」



両手と頭を大きくぶんぶん振って、必死に弁解しようにも、この岩城さんには、

俺の岩城さんが解らない。

あ、あ、ああ、ど、ど、どうしたらいいんだろっ!?



「俺の体撫で回しながら、他人のコト考えてるなんて、いい度胸だ」

「ひ・・・っ!」



そして、おもむろに両手で印を結ぶと、何やら呪文を唱え始める。



「※*★*▲■□§★●◎○→※▽▲○●◇」



「ひ・・・ぎゃあぁぁぁぁっ!!」



すると俺の頭の輪っかが、とんでもない勢いで締まり出し、俺は床を転げ、

のた打ち回った。



「い、痛―――っい、痛いっ、痛いっ、岩城さん、痛いよっ、頭、頭っ!!」

「うるさい!まだ、その名を言うか!?」

「ぎゃっ、痛い、痛い、痛いって!マジ、マジ、止めて〜っ!!」

「・・・この腐れエロ猿っ、問答、無用っ!!」

「ぎぇ・・・っ!!」



こ、こ、これが、世に名高い緊箍呪・・・っ、頭の締め付けと脳内直撃、神経攻撃っ!

死ぬ!死ぬ!死ぬって、岩城さん!!



「※*★*▲■□§★●◎○→※▽▲○●◇」



「痛いよーーーっ、許して!た、た、助けて、助けて〜!岩城さーーーんっ!!」









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「なんてトコで寝てんだ、お前?」



と・・・そこで、パチリと目を覚ました俺は、起き上がる拍子に、

長椅子にずるっと滑って、思い切り、後頭部をぶつけた。

ゴツンと響く、鈍い音。



「か、香藤、大丈夫か!?」

「・・・・・・ぐっ」

「うわぁ、・・・痛そうだな。・・・バ〜カ、何やってんだ、お前・・・」



呆れながらも、この痛みを共有してくれてそうな岩城さんは、

俺を抱き起こして、打った頭を、そっと、撫でて・・・くれる。



・・・ううっ・・・髪の毛、ある。



きれいな、きれいな、真っ黒艶々・・・ストレート。

お気に入りの、スーツ姿。



「本物・・・だ。俺の・・・俺の岩城さん・・・だぁ・・・」

「はぁ!?」



痛みと目覚めた喜び、正真正銘、俺の岩城さんを目の前にして、

俺は涙目、うるうる、ひくひく、しながら、思い切り、その体に抱き付いた。



「うあ〜〜〜んっ!!俺の岩城さ〜んっっっ!!!」

「な、なんだ、どうした、香藤、そんなに痛かったのか?」

「岩城さんっ、岩城さんっ、俺が愛してるのは、岩城さんだけだよーーーっ!!

浮気なんかしないよーーーっ!!」

「なんなんだ、寝惚けてんのか?お前」



頭の痛みなんか、どうだっていいんだよっ、どんなにそっくりそのままで、

お色気むんむんだって、やっぱり俺の岩城さんは、この岩城さんなんだから!!



「岩城さん、岩城さん、岩城さ〜ん!!あ〜ん、やっぱり本物のが、いいよ〜」

「よく・・・解らんが。なんだいい年して・・・子供みたいに」



ひっくひっく・・・っ。



それでも、ふぅって溜息ついて、

『・・・怖い夢、みたんだな・・・よしよし』

って、優しくぽんぽん背中叩いて、抱き締めてくれる、最愛の人。



うっうっうっ・・・。



「ほら、香藤。しっかりしろ。月がキレイだぞ?

せっかくお前、団子まで用意してくれてたみたいなのに、食べないのか?」



俺を抱えて、また優しく、背中、撫でながら言う岩城さんに、

俺はぶんぶんと頭を振って、更にぎゅっと抱き付いて、



「ヤダ〜、しばらく俺、月なんか、見たくな〜い」



と、大絶叫。



「月、怖いっ、満月、怖いっ、ヤダヤダ、ヤダ、岩城さん、もっとぎゅってして!?」

「・・・なんだそりゃ・・・」



恐怖半分、役得半分。

やっぱり夢でもスケベ心は厳禁なんだって、改めて本物の岩城さん抱き締めて実感する。

そうしてしばらく現実の平静を取り戻すまで、俺は岩城さんを放さなかった。





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そして、翌日。

早朝からの仕事に出掛ける支度をしていた俺の目に、

岩城さんのバックと一緒にある、特番の台本が・・・飛び込んできた。



日テレ・新春(正月)2時間スペシャル

魅惑のシルクロード

【大唐西域記】



「・・・・・・」



恐る恐るパラパラ捲ると・・・。



ナレーション・玄奘三蔵 : 岩城 京介



「・・・・・・」



その日、切り替え上手な筈の俺の仕事ぶりが散々だったこと、なんて・・・

言えないよ・・・、岩城さんには。

・・・くすん。











おわり 

2004/09/13  にゃにゃ




くすくす・・・香藤くんの夢・・・・素敵v
岩城さんの法師様・・・・それはそれはさぞかし綺麗なことでしょうv
見てみたいものです!(番組もv)
岩城さんに甘える香籐くんが可愛くて可愛くて!!
別部屋に裏versionが掲載されていますv

にゃにゃさん、ありがとうございますv