バタバタとした、年末も終わりお正月も過ぎた頃、香藤は無性に悩んでいた・・・。 それは、1月の大イベント。 岩城さんの誕生日が間近に迫ってきているからである。 (うぅ〜ん・・。今年はどうしよう・・・。) 香藤は本気で悩んでいた。 冬の蝉が公開後、前以上に仕事量が増え、プレゼントを買いに行く時間が取れないのが現状である。 いいなぁ。と思う物はあるが、岩城さんへのプレゼントを人に買いに行ってもらうのは嫌だし、だからと行って自分で買いに行けないし・・・。 っと、とてつもなく悩んでいた。 そんなある日、香藤にCDの話が持ち上がった。 始めの、コンセプトは岩城さんと2人でと言う話だったが、岩城さんが嫌がり香藤一人で出すと言う事に落ち着いたのである。 (そうだ、岩城さんの誕生日に、俺が作った曲でもプレゼントしようかな) 実現出来るとは、思っていなくポロッと、プロデューサーにこぼした所、二つ返事でOKを貰った。 あくまで、”これは岩城さんに送る曲なので、絶対に口外しないで欲しいと”念を押し早速曲作りに取り掛かった。 作曲から作詞まで、自分で作るとはじめは張り切っていたのだが、意外にこれが難しく香藤を悩ませていた。 空き時間を見つけては、思いついた曲を鼻歌で歌いそれを録音してそれを、プロデューサーに渡しを繰り返しどうにか作曲は出来た。 しかし、最大の問題は作詞であった。 プロデューサーは”想い”をそのまま書けば良いと言われたのだがあまりにも、あふれ出す想いが、どうにも言葉に収まりつかなかったのである。 何度書いても、納得が出来ない日々が続いた。 (伝えたい事が多すぎて、うまくまとまりが付かなくなっちゃうなぁ〜・・。) 何度目かのため息をついた・・。 納得できる詩が、なかなか出来上がらない日々が過ぎ、岩城の誕生日が間近まで迫って、香藤は本当にあせりだしていた。 (どうしようぉ〜・・。詩が出来ない・・・。誕生日も近づいてるし・・・) もう、何度も書いては捨て書いては捨てを繰り返していた。 そして、どうにか前日に書き上げた詩を、レコーディングの日に持ち込み録音すると、早速出来上がった歌をCDにして、 帰りがけにCDウォークマンを買い込んでホクホク顔で帰宅した。 (喜んでくれるといいなww) 顔のにやけが収まらないほど納得が出来たCDを、早く渡したい衝動に駆られたが、その衝動をどうにか押さえCDをウォークマンにセットし、 キチンとラップングするとそっと自室の机に仕舞い込んだ。 (早く明日にならないかなぁ〜w) 明日は2人で、オフを取っているのでゆっくりと誕生日を祝える嬉しさもあり、顔の筋肉が緩みっぱなしになっていた。 ソファーでクッションを抱きながら、ゴロゴロしていると遠くに車が止まる音に飛び起きた。 (あっ!帰ってきた!!!) 抱えていたクッションを、ソファーへ投げ出し玄関で岩城が入ってくるのを今か今かと待ちのぞんだ。 リビングに明かりがついていたのに気が付いたのか、鍵は差し込まずにゆっくりと扉が開かれた。 「おかりなさい!岩城さん!!」 扉が開いた瞬間に見せた岩城に、抱きつくとキスを奪った。 「・・んっ・・」 おかえりにしては長いキスを堪能すると、銀色の糸が二人の唇を繋いだ。 「た・・ただいま」 少し息を上げ頬を赤らめた岩城が、そっと香藤の頬を包み込んだ。 「久しぶりにゆっくり、お前を見れたな」 うっとりと呟く岩城に、香藤は再び口付けを落とした。 始めはあわせるだけのキス・・。 そして、次第に深く官能を引き出すようなキスを。 へたり込みそうな、岩城さんの腰を支えもう片方の手はゆっくりとYシャツをまさぐった。 「ん・・ちょ・・ん・・っと待て。か・・とう・・」 「ん?どうしたの?」 「その、明日なんだが・・・」 「うん。俺もオフ取ったからゆっくり愛し合えるよw」 「いや、そうじゃなくて・・」 「ん?どうしたの?」 岩城は苦虫を噛み潰した表情で香藤の手を握ると小さく頭をさげた。 「えっ?どうしたのいき・・・」 「すまない!!」 「えっ?」 「明日なんだが、ドラマの取り直しになって午前中は仕事なんだ・・・」 「そんなぁ〜・・。だって、明日は・・」 「だからすまない」 「・・・そっ・・・か・・・。じゃぁ今日は無理できないね」 少しクセッ毛の髪から出ていた耳がシュンっと垂れ下がったのがわかった岩城は、小さく呟いた。 「ああ。その代わり、明日の変わりってわけじゃないが明後日の午前中はオフだから・・」 俯きながらまるで独り言のように呟いた岩城の耳は真っ赤になっていた。 「そっかw。じゃぁ、明日はゆっくりと思う存分愛しあおうねww」 そんな岩城の言葉に喜びながら、岩城を抱きしめた。 「じゃぁ、今日は岩城さんが抱いてくれ・・・る?」 「えっ?」 その言葉に、岩城は勢い良く顔を上げた。 その顔は驚きの表情がありありと浮かんでいた。 「もう。そんな顔しないで。冗談だからさ」 少し寂しそうな顔で香藤は岩城を抱きしめた。 本当は抱いて欲しかった・・・。 ホンの些細な事なのかもしれない。 でも、その時々俺はどうしようもない不安に駆られる時がある・・。 本当は、岩城さんが俺の事好きじゃないんじゃないか・・・・。 仕方なしに俺と一緒にいるんじゃないかと・・・。 そんな事無いってわかっているのに・・・。 まるで、俺の考えている事がわかったように岩城は、肩に埋めていた俺の顔を両手で包むと、ゆっくりと正面を向かせた。 「俺はお前の事が大事だし、それに・・・」 「それに?」 「愛してる」 「ぇ?なに?そんな小さな声じゃ聞こえないよ?岩城さん」 「だから、愛してるって!!」 岩城は顔を真っ赤にしてそう叫ぶと、靴を脱ぎさっさとリビングへと入って行った。 「ちょっと岩城さん!待ってよぉ〜・・」 俺も慌てて靴を脱ぎ、岩城さんの後を追いかけた。 その後、岩城にお風呂を用意しその間に、軽い食事を作るとお風呂に入れて、その間に後片付けをすませた。 本当は一緒に入ろうと迫ったのだが、あっさり却下されそれでも食い下がる俺に 「入ってきたら、今日は自室の部屋に鍵掛けて寝る」 と脅され、泣く泣く俺は諦めた。 岩城さんが上がってくるまで俺は、ソファーに寝そべりなんと無しに、テレビを見ていた。 岩城さんが出てないテレビなんて見ても面白くないし・・・。 小さなため息と同時に、リビングの扉が開いた。 「気持ちよかった。お前も入って来いよ。そのままにしてるから」 「・・・う・・ん・・」 「どうした?具合でも悪いのか?」 「いや、お風呂上りの岩城さんも綺麗だと思って見とれてたのww」 「はぁ〜・・・」 ため息と共に、小さく首を振った。 「馬鹿な事言ってないで早くは行って来い。俺は上に行ってるぞ」 「うん。速攻で入ってくるね」 小走りで、お風呂場に向かった香藤を見届け、ゆっくりと2階の寝室へと向かった。 読みかけの小説を開きながら、ベットで読んでいるとしばらくして香藤が上がって来た。 ガチャ 俺が寝てると思ったのか、意外なほどゆっくりと開けられた扉を振り返った。 「あ、起きてた?」 「ああ。これも読みたかったしな」 持っていた、小説を持ち上げ軽く振った。 「ああ。この前読んでたやつね」 「ああ」 その小説を閉じると、香藤を手招いた。 「ん?どうしたの?」 ゆっくりと近づいて来た、香藤の後頭部を掴むと強引に口付けた。 「・・ん・・・ふっ・・・」 深いキスを貰いながら、ゆっくりと岩城に身体を預けた。 「今日は俺に抱いて欲しいんだろう?」 「岩城さん・・・」 「ゆっくり抱いてやるよ」 「うん!!」 岩城さんは優しく、そして鬼畜全開で俺を抱いてくれた。 もちろん0時に、携帯のアラームをセットしていたので丁度0時に「おめでとう」も言った。 翌朝、俺は岩城さんより早めに起き、朝食の用意をして呼びに行った。 本当は少し、腰が重いがそれも岩城さんが愛してくれた証拠で俺は嬉しくなった。 「岩城さん。おはようwご飯出来たよ」 「う・・・ん・・」 眠いのか目を擦りながら起き上がった岩城さんに、おはようのキスをするとすっと立ち上がらせた。 「もっと寝かせてあげたいけど、そしたら朝食食べる時間なくなっちゃうからね」 「ああ」 「その前に、顔洗ってきてね」 「ああ」 眠たそうにそれしか言わない岩城さんを洗面所に押し込め俺は、キッチンへ戻った。 朝食を済ませ、シャワーを浴び着替えた岩城さんを玄関まで送り、そっと隠し持っていた包みを手渡した。 「はい。誕生日おめでとう。良かったら車の中でも聞いてね」 「ああ。ありがとう。終わったら直ぐ帰ってくるから」 「うん。俺ご馳走作って待ってるね」 「ああ」 ピンポーン 「清水さんだな。じゃぁ、行って来ます」 「行ってらっしゃい。気をつけてね」 ちゅっと唇に軽いキスを落とすと、手を振って岩城を送り出した。 岩城さん気に入ってくれるといいけどな。 「おはようございます。清水さん」 「おはようございます。岩城さん。今日は本当にすいません」 「いえ、気にしないで下さい。香藤もキチンとわかってくれたので」 「そうですか、よかったです。今日はなるべく早く帰れるといいですね」 「ええ。」 「もしかして、手に持ってるのは香藤さんからのプレゼントですか?」 「はい。CDも一緒に入ってるらしくて。向かう途中に聴いていこうかと思ってます」 「そうですね。」 車に乗り込み、綺麗にラッピングされたリボンを解くとイヤホンを両耳へ付け、再生ボタンを押した。 『岩城さん!!誕生日おめでとう!!!とりあえず、この曲を岩城さんに贈ります。聞いてください。 あ、そだ。岩城さん俺の歌下手だなんて言わないでねww』 そんな香藤の音声に少し笑いながら、ゆっくりと瞼を閉じた。 タイトルと共に、ゆっくりと曲が流れ出した。 『LOVING』 トキ 貴方を想う 幾千の時間を越えて 貴方に出逢った日 貴方に恋した想い 今も感じている この腕は 貴方を守るため 抱きしめるため 包み込むためにある 貴方の全てが 愛しくて 貴方の全てが 欲しくい ずっと側にいたい 一秒も離れていたくない 貴方の温もりを ずっと感じていたい 俺の腕の中に 心の中に 想いの中に 全てを 閉じ込めておきたい 俺を愛してくれて ありがとう 貴方を愛させてくれて ありがとう 言葉では言いつくせないほどの 愛をありがとう 貴方の愛が 俺の命であるように 貴方の全てを 愛してる 『本当はもっとカッコいい言葉とか、並べたいけど俺さ馬鹿だから、こんな風にしか書けない。 自分でも情けないと思うけど、これが俺の今の精一杯の言葉なんだ。 これ、作詞も作曲も俺がしたから、他の誰かの曲じゃなくて岩城さんだけに送る俺の言葉。 気に入って貰えると嬉しいな。これから、一杯馬鹿なこともするかもしれない。 だけど、これだけは覚えていおいて、たとえどんな事が起ころうと、 俺が岩城さんを愛してるって事は変えられない事実ってこと。 誕生日おめでとう!! 大好きだよ!! 愛を込めて香藤より。 』 涙が止まらなかった。 自分でも制御できないほどの涙が、ただただ・・・瞳から溢れ出していた。 清水さんが驚いた顔を見せたが、それでも隠そうとしなかった・・。 いや、隠せなった。 このCDに香藤の愛が感じかれて、そっと包み込まれるような感覚に岩城は涙が止まらなかった。 そっと、ウォークマンを抱きしめ『ありがとう』を何度も呟いた。 帰ったら、キチンと言葉にしよう。 俺が感じているお前への気持ちを。 この、溢れんばかりの感情をキチンと言葉に、態度に。 俺も愛してる香藤。 愛してやまない、俺の愛しい香藤・・。 岩城はしばらく泣き続け、少し赤くなってしまった目をどうにかごまかしスタジオに入った。 それから、岩城の緊張した雰囲気が現場を引き締め、予定時間よりも早くスタジオを後に出来た。 早く帰って、お前を抱きしめたい。 キスしたい、愛し合いたい・・・。 はやく、お前に・・・・・・・・。 逢いたい。 END 初投稿させていただきました。kreuzと申します。 ごめんなさい!!!! もう、駄文以外の何物でもない・・・orz 自分の文才の無さが嫌になります>< 途中の、歌の歌詞も何が言いたいのかわからない有様で・・・>< これでも、一生懸命考えたのですが、これ以上の物が出てこなかったので;; 本当にごめんなさい!!!>< kreuz |
初投稿、お疲れ様でしたv
香藤くんの気持ち・・・素敵な歌詞になって岩城さんへ届きましたね!
本当に互いを思う気持ち・・・って素晴らしいなあ・・・と何度も思わされます
kreuzさん、素敵な作品ありがとうございますv