遠く離れても

「岩城さん誕生日おめでとう」

写真の中の愛しい人にキスをする。

「こんなに遠く離れた場所で岩城さんの誕生日を迎えるのは初めてだね」

『そうだな』

「毎年金子さんや清水さんが二人のオフが重なるように

なんとかスケジュールを調整してくれてたもんね〜」

『・・・仕事なんだから仕方ないだろう』

写真の中の岩城さんが少し目を伏せて寂しそうに笑う。

「そうなんだけどさ、やっぱり一緒に過ごしたいじゃん」

『それは俺も同じだ』

「そのうちタイムマシンとか開発されたらさ、俺、一番最初に岩城さんが生まれた日に行くよ」

『・・・お前はまた何を言い出すんだ』

「も〜聞いてよ、岩城さん」

くすくすと笑いながら岩城さんが微笑む。

あ〜、も〜〜〜〜その顔ヤバいって。

「それでさ、生まれたばっかの岩城さんを抱きしめるんだ」

『・・・きっとサルみたいな顔をしてると思うぞ?』

「それでも岩城さんだよ?」

『お前の顔見て泣き出したらどうするんだ・・・』

岩城さんが呆れ顔で溜息をつく。

「おわ〜すげ〜岩城さんと初コミニュケーションじゃん」

『・・・・・・あのな』

「大丈夫!だって岩城さんだもん」

『・・・は?』

「岩城さん知ってる?赤ちゃんって生まれたばかりの頃は前世の記憶を持ってるんだって」

『前世の記憶?』

「うん、俺と岩城さん、絶対に前世でも恋人同士だったと思うんだ」

『そんな都合のいい・・・』

岩城さんが額を押さえて唸り出した。

「ぜ〜ったい、そう!俺と岩城さんが出会うのは運命だったんだよ」

『・・・今と違う運命だったら俺達は出会わなかったって言うのか?』

岩城さんが眉間にシワを寄せて睨んでる。

あ・・・怒ってる〜でもそんな顔も可愛いんだよね〜。

「どんな運命でも俺は岩城さんを探し出して見せるよ」

一瞬驚いて目を見開いた岩城さんがうつむきながら頬を染める。

『・・・・俺も』

「ん?」

『きっとお前を見つけ出すよ、俺のほうが年上だからな』

岩城さんがにやりと笑う。

「むっ!それって不公平だよ〜〜〜」

『何を言ってるんだ!俺達が出会うことの方が大事だろう』

「・・・あ、それもいいかも」

『は?』

「もっと早く出会ってたら、岩城さんが成長していく姿を見られるってことだもんね」

ふいにコンコンとドアをノックする音がして俺は立ち上がった。

「香藤さん、金子です」

「ああ、今開けます」

ドアを開けると金子さんが怪訝な表情で立っていた。

「どうしたんですか?」

「いえ、あの・・・香藤さんの部屋から話し声が聞こえるんで誰かいらっしゃるのかと思って・・・。

「あ・・・あはは、ひとり言だよ」

「はあ・・・それじゃ、おやすみなさい」

「はい、お休みなさい」


『お前の声が大きすぎるんだ』

「そんな〜〜〜岩城さ〜ん!」

写真立てを片手にベッド横になると昼間の疲れがどっと襲ってきて

俺はあっと言う間に眠ってしまった。

愛してるよ、岩城さん。

たとえ遠く離れていても、俺の心はいつも岩城さんのそばにいるよ。




おわり


2008 1/27  らむママ



くすくす、香藤くんったらどれだけ大きな声で話していたんでしょうv
可愛い!
ええ、どれだけ離れていても心はいつでも岩城さんの側に・・・ですよね
そんなおふたりが大好きですv
らむママさん、素敵な作品ありがとうございますv