スペシャル・デー


今日は岩城さんの誕生日。清水さんと金子さんが三日間のオフをがんばって取ってくれたので、久々に岩城さんと旅行に行こうと思っていた。
多忙な俺たちにとってはありがたい三日間だ。
だけど、オフになったとたん、岩城さんが熱を出してしまった。
たぶん、今までの疲れのせいだろう。
というわけで、旅行はまた次の機会になった。
まぁ、俺としては、岩城さんとずっといられるなら、どっちでも良いけどね。
「ゴホッ・・・ゲホッ・・・スマン、香藤。」
ベッドの中ですまなそうに俺を見る岩城さん。
熱のせいで潤む瞳、頬も赤くて。直視できないくらい、かわいい。
「大丈夫だよ、岩城さん。謝らなくても。仕方ないでしょ?岩城さんが気にすることじゃない。それにさ」
岩城さんの頭に乗ってるタオルを取り替えながら言う。
「俺、別に旅行に行きたいわけじゃないんだ。岩城さんと一緒にいれば、それで良いから。」
「香藤・・・」
ふわりと微笑む岩城さん。 あ〜、可愛い!
おっと、だめだ、香藤洋二。岩城さんは今かぜひいてるんだぞ!休ませてあげなくては。
「あ、そだ。岩城さん、なんか、食べる?俺、作るよ」
「いや・・・食欲がない・・・」
「だめだよ?ちゃんと食べなきゃ。ね」
「・・・わかった」
しぶしぶといったようだけど、岩城さんは納得してくれた。
そっと岩城さんの頭にキスをして、俺は急いでキッチンへ向かった。
ヤバい・・・今の、思った以上にキた・・・。

おかゆを作って、寝室まで運ぶ。
今回のは、自信作!
寝室のドアを開けると、岩城さんがすやすやと、寝息を立てていた。
寝顔もかわいーー!このままにしておきたかったけど、何か食べなくては体力が持たない。
そう思って、かわいそうと思いつつも、俺は岩城さんを起こした。
「岩城さん、おきて。」
「んっ・・・か・・・とう?」
「ごめんね、もうちょっと寝かせてあげたかったけど、何か食べないと、体、持たないよ」
そう言って、俺は岩城さんの体を起こした。
熱の所為か、岩城さんの体はとても熱かった。
「岩城さん、ほら、口あけて」
「な、何をするつもりだ?香藤」
怪訝そうに俺を見る岩城さん。
「何って、食べさせるだけだよ」
「ひ、一人で大丈夫だ!」
とたん、顔を今まで以上に赤くして、岩城さんが怒鳴った。
「だーめだよ。今回だけ。俺にやらせて」
それに、あーんさせることが、看病の醍醐味ってやつだよ!とは、さすがにいえなかったけど。
「っ・・・」
「ほら、あーんして」
堪忍したかのように、岩城さんがため息をひとつつくと、おずおずと口をあけた。
もちろん、恥ずかしがりながら。 そんなところも、可愛いくてたまらない。
「香藤?」
岩城さんを凝視するあまり、固まってしまった俺を、岩城さんが遠慮がちに声をかける。
かわいかったんだから、しょうがないよね。
「あ・・・ごめん。岩城さん。はい」
「んっ・・・、うまいな」
にっこり笑って、岩城さんが言う。
あ゛―――!!そんな顔しないで!!岩城さんってばかわいすぎる―!!
俺が必死に理性と戦っているのに、岩城さんはぜんぜん気づいてない。
「はい、岩城さん。あーん」
「あーん」
二口目から素直になった岩城さん。
そんな感じで、あっという間に食べ終わってしまった。
残念といえば残念。
でもま、全部食べてくれただけでも、うれしいけどね。
「岩城さん、ちょっと寝てなよ」
食べ終わって、うつらうつらしてきた岩城さんに、俺が言う。
じゃないと、このまま、俺の理性が長く持たないからね。
「ん・・・」
小さくうなづくと、岩城さんは大人しく布団の中にもぐった。
そして、一分もしないうちに、岩城さんの安らかな寝息が聞こえた。
「おやすみ、岩城さん。ゆっくり寝てね」
言って、俺はそっと岩城さんの額にキスをした。
皿をもって立ち上がり、キッチンへ向かおう立ち上がった時だ。
「ん?」
なにかが服の裾に引っかかっている。
なんだろう。
原因を探そうと、ふと、すそのほうを見る。
すると、岩城さんの手が、俺の服のすそをつかんでいるのが、眼に入ってきた。
当の本人は、熟睡しているのに。
「ふぅ…しょうがないなー」
こんな可愛い岩城さんを、この俺がほおって置くわけがない。
どうしてこの人は、こんなにかわいいんだろう。
「俺の負けだよ。岩城さん。」
岩城さんの額にもう一度キスをする。
岩城さんの顔が、かすかに微笑んだような気がした。

「大好きだよ、岩城さん。」



龍翔


病気の岩城さんが・・・可愛すぎ!
私も構いたいです!(迷惑です;;)
香藤くんの服の裾を握って眠り込んでいる岩城さんに・・・萌えでございます!
龍翔さん、素敵な作品ありがとうございますv