薬玉
「・・・・・・・何、コレ・・・」 「ん?どうしたんだ香藤、その大きな荷物・・・」 風呂から上がってリビングを覗くと、白いオーガンジーの布とピンクのリボンで 綺麗にラッピングされた1メートル四方の大きな箱が置いてあった。 「ん〜さっき宅急便で届いたんだよ」 「誰からだ?」 「・・・はい」 香藤から渡された伝票には『ご依頼主 宮坂・小野塚 様』と書かれていた。 「ああ、あの二人からか・・・開けて見ればいいじゃないか」 隣で香藤が眉間にシワを寄せて箱を眺めながら呟いた。 「なんか・・・やな予感がする・・・」 「何を言ってるんだお前は。ほら・・・ちゃんと開けてみろ、お礼を言わなきゃいけないだろう」 「・・・・・・・うん」 香藤がまるで爆弾でも入っているかのような様子でリボンに手を掛ける。 しゅるりとリボンを外すと白い箱が現れた。 中から現れたのは、ショッキングピンクの大きなハートで、パイプが一緒に入っている。 「あ・・・カードが入ってる・・・え?誕生日プレゼント〜〜〜?」 「良かったじゃないか、ちゃんとお礼の電話入れておけよ」 「うん!・・・でも何なんだろ・・・え〜と、薬玉〜〜〜?」 「はあ?」 あまりに意外なプレゼントにびっくりして大声を上げてしまった。 説明書を広げて香藤が呟く。 「ん〜このパイプを組み立てるみたい」 「しかし、薬玉か・・・変わったプレゼントだな」 「俺、薬玉なんて貰ったの初めて・・・」 「誕生日は来週だな・・・それまで組み立てて飾っておくか?」 「そだね、せっかくだし・・・でもその前に・・・」 「ん?」 香藤が白いオーガンジーの布を拾い上げてソファーに腰を降ろした。 「ね、岩城さんちょっと来て」 「何だ?」 傍に寄ると俺の腰に腕を回し、着ていたガウンを脱がされた。 「こらっ!香藤〜〜〜!!」 「えへへ」 香藤の手が器用に白いオーガンジーの布を俺の身体に巻いていく。 最後に胸の辺りでリボンのように結んで、満足そうに微笑んだ。 「うん、似合うよ岩城さん」 「ばっ・・・・バカかお前はっ!!」 ![]() 「いいじゃん、肌が透けて見えるのって、すっごいそそる〜」 「・・・お前、最近バカに拍車がかかってきたな・・・」 「いいの、いいの!岩城さんに関しては俺、いっくらでもバカになるもんね〜」 「まったくお前は・・・」 こっちは恥ずかしくてしょうがないっていうのに・・・。 ・・・まあいいか、俺もお前のその笑顔を見ると嬉しいからな・・・。 思わず微笑んだ俺を見て香藤の目つきが変わった。 「もう・・・そんな色っぽい顔して〜俺を誘ってんの?」 「ばっ!・・・んっ・・・・・・・」 「も〜ダメ!止まんない!!」 ・・・・・・・・・・・・・結局その晩はリビングで夜を過ごすことになった・・・。 「岩城さん!」 ドラマの撮影を終えてテレビ局の玄関を出ようとしていた俺を呼び止める声。 振り向くと小野塚くんだった。 「やあ、この間は香藤の誕生日プレゼントをありがとう」 「いえ、大したもんじゃないっすよ。ところで明日、香藤の誕生日ですよね」 「ああ、あの薬玉割らせてもらうよ」 「それで岩城さんに手伝って欲しいことがあるんですけど」 「俺に?」 「はい」 「いいけど、何をすればいいんだい?」 「岩城さん、明日の予定は?」 「香藤の誕生日なんでオフを取ってあるよ」 「じゃあ、それでOKです」 「・・・は?」 「じゃあお願いしますね〜」 「・・・って小野塚くん!?」 誕生日当日、薬玉を割って香藤は大喜びだったが・・・。 ・・・小野塚くんの頼みは内容をよく確認してからにしようと心に誓った俺だった・・・・・・。 まあ・・・香藤があんなに喜んでいるんだからいいか・・・。 香藤、誕生日おめでとう・・・これからもずっと・・・・・・。 2006.6.3 らむママ |
オーガンジーの布を纏った岩城さんはそれはそれは美味しい、いえ・・・
綺麗だったでしょうねえvvv
薬玉をプレゼントする宮坂君と小野塚くんもいいですよね!
素敵なイラスト入りのお話に頬が緩みっぱなしですv
岩城さんの表情がこれまたナイスです(笑)
らむママさん、素敵なお話ありがとうございますv