「Hoarfrost」
その冬は大陸からの寒波の影響で、寒気に覆われた日本列島では 日本海側を中心に記録的な大雪が続いていた。 もちろん大都市にもその影響は及び、普段はめったに雪に 見舞われることのない東京の街は白く景色を変えていった。 規則的な呼吸だけが聞こえる部屋。穏やかな時間。 岩城はベットの上で身を乗り出して窓の外を眺めていた。 その腰には筋肉質な腕が絡みついている。 昨晩は日付が27日に変った途端、ベットに引きずり込まれた。 『お誕生日おめでとう』の言葉と共に抱き締められ 生まれたときのままの姿の岩城さんを愛したいよ・・・ なんて甘い言葉に誘われてそのまま明るくなるまで 寝かせてはもらえなかった。 (ったく腰に力が入らないじゃないか・・。) 気だるげに、だが嬉しそうに岩城は微笑んだ。 こういうときは誕生日くらいは・・とオフをとってくれた 双方のマネージャー達に感謝を願う。 (きっと俺たちがこうなるってわかってるんだろうな) ひとり頬を染めながら香藤の精悍な横顔を眺める。 今夜は更に俺へのプレゼントを何か趣向を凝らしてくれるそうだ。 (俺は香藤がいてくれればそれでいいのに。) そっと伸びてきた前髪をかきあげてやると・・。 「ん〜・・どうしたの?」 香藤がぶるっと身震いをして目を開いた。 「すまん。起こしたか?」 「ううん。もう起きようかと思ってたとこだったよ。」 「寒くないか?」 「岩城さんは?」 「俺は雪国育ちだからな。」 「そうだったね。・・・そういえばさっき何をみてたの?」 「・・窓霜を見てた。」 「窓霜??」 「ほら、そこの窓を見てみろ。」 「ん?・・わ〜、真っ白だね〜!って何か模様がついてる??」 「氷の花のようだろ?」 「うん!!綺麗だよ!!岩城さんには負けるけど〜」 「・・ばか。」 「へへ。だって本当だもん。」 「・・俺が・・生まれた日も窓霜が降りたそうだ。」 「ほんと?これって触れるの?」 「あぁ。窓の内側に出来るんだ。とくに今日のように部屋の外と 中の温度差が激しいときは氷が何層にも重なってレリーフのように 盛り上がるんだ。ココからみると牡丹の花みたいだな。」 香藤がベットから降りて窓の霜に触れると指のぬくもりで融けて つつーっと水滴が滴る。 陽の光をあびて指を伝いながらキラキラと濡れた輝きを魅せる。 「・・・岩城さんみたいだ。」 「香藤っ俺はもう無理だぞ。」 「え?!いや・・そ・・そんなHなことは考えてないよ!」 「それは、その下半身を隠してから言えっ」 はっとして下を向いたときはすでに遅し。 香藤の分身は天を向いてそそり立っていた。 もちろん抱きあったまま眠ってしまったのだから 香藤が服を着ているはずはない。 「わ・・わかってるよ!誕生日にそんな無茶はしないよ。 俺ってこう見えても紳士なんだからね!!」 「ほ〜。紳士はいびきをかいて寝るのか?」 「え〜?うそ!俺っいびきかいてた?!昨日頑張りすぎたからかな?」 おやじみたいじゃんとブツブツ言いながら頭をかく香藤を見ながら くすくすくす・・と岩城が愛らしく笑う。 「あっ!!岩城さん騙したね〜!!!」 「ウ・ソ・だ。」 「ひっど〜〜い!!このっ!」 香藤が岩城のわき腹をくすぐった。 「こっこら!あはははっやめっろってはははははっ!!」 「駄目だよ〜。岩城さんの弱いところは全部わかってるんだか・・ら あ〜はははははっひぃ〜っやめって〜〜〜〜。」 「俺だってお前の弱いところはお見通しだ!!」 ベットの上でバタバタと大の男2人が暴れたために 布団がはだけ、白い裸体が浮かび上がる。 「はははは・・・は・・」 香藤がふいに動きをとめて岩城の太腿をじっと見つめた。 「なんだ?」 「花が咲いてる。」 「花?」 それは香藤が昨夜つけた愛の印の跡(キスマーク)だった。 岩城の白い肌の上でまるで窓霜の花のように赤く咲き誇っている。 「なっ!なんだこれは?!か・・かとぉ〜〜!!!!!」 岩城の鉄拳をあびながら目じりをデレデレと垂れ下げながら 香藤はうっとりとつぶやいた。 「やっぱりどんな花よりも岩城さんのほうが綺麗だあ」 にぎやかな声が部屋の温度を上げたのか、窓の霜は融け始めていた。 どんなに頑なでも太陽に照らされれば解けない氷はない。 暖かなぬくもりに包まれて昇華されていくのだ。 香藤に溶かされた岩城のように・・・。 ゆめつき |
岩城さんの肌の上に散る花・・・・ぽわわんvvv
思い浮かべただけで鼻血ものです!
ベッドの上でふざけて暴れるおふたりの図・・・たまりませんv
ゆめつきさん、素敵なお話ありがとうございますv