蜜柑



……ドシンッ。

いって〜っ。
あれ〜? 俺、ベッドから落ちたのか!?
あ、岩城さん、ごめん、起こしちゃったね〜。
うん、大丈夫だよ。え!?

「頭、打ったんじゃないのか」

ぅん、ちょっと…。

「よしよし、大丈夫か」

えへへへ。撫でてもらって、まるでペットの気分。愛犬ヨージ、このまま岩城さ
んにマウンティング!ってね。
あぁっ! しまった〜!
今朝は岩城さんに、俺の腕の中で目覚めてもらうつもりだったのに〜。ちぇっ。
そっと先に起きて、岩城さんが俺の腕の中で目を覚ますまで、じっと見つめてい
たいって思ってたんだよね〜。
今日は岩城さんの誕生日でしょ。朝は俺の腕の中で目覚めて、夜は俺の腕の中で
眠りについてもらうんだって計画してたのに…。
こんな日にベッドから落ちて、それで岩城さんを起こしちゃうなんて…。
なんだか情けないよ〜。

「今からでも遅くないだろ?」

岩城さん!! じゃあ、もう一度、ぎゅって抱きしめるからね。俺の腕の中で目を
つむってて。ねっ!!
岩城さんを抱きしめててベッドから落ちるなんて、初めてだよ〜。
なんかね、夢見たんだよね〜。
そう、新潟の実家にいるんだ、俺。お義兄さん夫婦とお義父さんと四人で。
そしたらさ、どこかから岩城さんのものすご〜いあえぎ声が聞こえてきたんだよ
ね〜。
「あぁっ、か…と、いいっ…あぁん、もっと」って…。
俺、さすがに恥ずかしくてさ、恐る恐る顔を上げたら、三人とも真っ赤になって
てさ。お義兄さんは怒り心頭って感じだった…。
あえぎ声が盛り上がってきたら、それに合わせるみたいに家がぐらぐら揺れ始め
たんだよね〜。地震だ〜って、俺、ひっくり返っちゃって…。そしたら、ベッド
から落ちてたの。変な夢だよね〜。
あれ、どうしたの? 怒ってるの?

「何でお前は別の部屋にいるんだ? 俺はいったい誰に抱かれてたんだ!?」

俺に決まってるじゃん。
夢の中だってどこだって、岩城さんをあえがせる男は世界で俺1人だけだよ。
あ。照れてるんでしょ? だから今、俺の胸にすりすりしたんでしょ?

「からかうな」

もう、岩城さん! そんな可愛い顔で俺のこと、にらまないで…。
また、キスしたくなっちゃうじゃない…。

2005.11.2 ゆみ


香藤くん・・・もう岩城さんが好きで好きでたまらない!っていう
気持ちが溢れています〜☆
でも岩城さんって本当に可愛いものね〜vvvv私も抱きしめたいです!
ゆみさん、素敵なお話ありがとうございますv